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木漏れ日のように静かで優しい時間が流れる美しいカフェ

いつからか月に一度の土曜日にここに来るのが楽しみになっていた。

バンド時代に出逢ったギタリストにオーダーメイドのブックカバーを作ってもらった。
タグには「Mika」の名前入り。

私はミステリ小説をそのカバーに。

父がサイフォン珈琲が好きだった。

2013年の9月ラジオ高崎にパスをもらいに行き
路上ライヴを始めた。

それからコロナ禍に突入した2020年の7年間の中でこの素敵なカフェに出逢いこのお店に来てサイフォン珈琲とパングラタンで本を読みながら時間を過ごすのが私の楽しみになっていた。

路上ライヴを終えるとこのカフェに寄る。

路上ライヴはたくさんの一期一会があった。
たくさんの思い出とともにこのカフェでの時間があった。

全てが丁寧に繊細なマスターの手仕事。

私はここのパングラタンは世界一だと
豪語している。

しかし一昨年あたりにこの店にはシャッターが閉まったままに。

駐車してしばらく動けないほどのショックが隠せない。それから時が流れた。

お世話になっている方のSNS投稿によりこの店が移転したと知る。
この時の心躍る感情は今思い出してもトキメキだと言っていいだろう。

移転から約一年だという。
今日久しぶりに行くことができた。

トレードマークのイエローの看板が目を惹く。
店内に入るとフラスコの美しいフォルムとダークブラウンの木目が優しい店内に穏やかで温かいマスターの笑顔。

タイムスリップしたような高揚感。

席に着くとすぐにパングラタンを。

食べやすい正方形にカットされた薄い食パンはこんがりと丁寧にトーストされ、柔らかい鶏肉、色鮮やかなほうれん草、玉ねぎ、しめじ、玉ねぎなどの野菜、ホワイトソース、チーズをベールにさらに美しい黄金色に焼き上げられたパングラタンになる。
ランチにはサラダが。
細かいダイス型の白身とクリーミーな黄身が奏でる繊細なたまごサラダと小さく食べやすいトマト。
サイフォン珈琲で淹れる珈琲は抽出の過程の美しさも相まってスッキリとした爽快感を運んでくれる。

至福の時間とはこういう時間のことを言う。
そしてマスターとの会話がさらにこの時間を尊いものにしてくれる。

あの頃の話や私を覚えていてくれたことに
胸がいっぱいになってしまった。

色んな思いとともに過ごした時間が蘇って
早く来れなかったことに少しばかり悔やんだがしかし今来たことにきっと意味がある。

ゆっくりと時間を感じることのできるこの素敵なカフェはとにかくマスターの丁寧な手仕事とサーブが美しい。

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