【最後の4年間】
あなたが愛した人は、
あなたの一番そばにいて、
あなたはそれは安心したでしょう。
終戦の一年後、
昭和21年9月8日に産まれた命は、
あなたが育み無償の愛情を注ぎ、
立派に育ちあなたの誇りになった。
あなたが年老いて、
今度はあなたがしていたように、
あなたの子はあなたを無償の愛で包みました。
魂が旅立って空にのぼるとき、
わかってはいるけど、
人間は灰になってしまう。
今まで息をして、
こちらに微笑んでいた人の姿がなくなり、
骨になる。
空洞の陶器のような音が、
なんて厳かなこと。
産んでくれて、
愛してくれた人の最後の4年間に、
あなたの子がした事を、
私は敬服します。
大きな仕事を投げ出して、
海外生活を切り上げリタイアし、
あなたの子は、
あなたのそばにいることを選びました。
そして、
あなたの子は、
あなたが一番望んだ場所で、
あなたの旅立ちを見届けました。
あなたとは、
私の祖母。
あなたの子とは、
私の父。
お父さん、あなたのお母さんとの最後の4年間は、何にも代えられないかけがえのない日々。
67歳の父は、まだまだ、
89歳の祖母の息子だった。
父は現在77歳になって
今最後の4日間を迎えようとしている。
私が幼い頃から、
今まで、そしてこれからも、
「尊敬」という言葉はお父さんにしか使っていない。
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