見出し画像

【命を身ごもり育むということ⑤】

「子供はまだ?」 


「子供つくらないの?」 


「のんびりしてるとすぐ年取っちゃうよ。」 


「旦那さんが40過ぎなんだから早く子供つくらないとかわいそうだよ。」 






結婚後8年の間に、いろいろな人たちからこんなことを言われた。 


言う人は何も考えないで言っていると思うが、 
そんな言葉を向けられたほうはたまったもんじゃない。 



子供をつくるのは、簡単なことだと思っている人の言うことなのだろうか。 



人間は、動物だけど、幾多の複雑な感情をもつ生命体である。 

私は妊娠しにくい体質ではないけれど、私の精神が、妊娠し、子供を産むことを阻んでいた。 






********** 


妊娠8ヶ月、9ヶ月頃は、積極的に外出した。 
生まれてくる赤ちゃんの肌着や洋服を買ったり、入院準備品を用意し始めた。 


臨月になっても私のお腹はほとんど目立たず、大きくならなかったが、 
この頃になると、座った状態から立ったりそれから座ったり、そして歩くことも、とても大変になってきた。 




でも、この身重の大変さがとても心地よかった。 



この頃になると、一つの不安をよく感じるようになった。 




それは出産の不安。 



初めて体験する出産。 
自分はその体験に耐えられるだろうか。 
陣痛の苦しさや分娩に耐えられるだろうか。 
帝王切開になりやしないか。 

そして、赤ちゃんが無事生まれることができるだろうか。 
自分の体調も大丈夫だろうか。 





出産は、女性の長い歴史。 
女性は出産をするもの。 


それは当たり前なのかもしれないが、 
出産とは、多くの危険が付きまとうものだ。 


女性が子供を産むことを当たり前だと思うのは、おろかだと思う。 



女性はいくつもの複雑な思い、 
葛藤、不安を抱えながら十月十日を過ごすのだ。 



これは決して当たり前ではない。 




予定日は2006年2月10日。 


この日をドキドキしながら迎えた。 

だが、検診でも、産まれる様な気配はまだなく、 
遅れるだろうと。 


出産の不安があるものの、早くわが子に会いたい気持ちが強くあった。 

この頃は、早く生まれるようにと、実家から自宅の距離、時間にして、徒歩で20分ほどの距離をよく歩いていた。 



夜寝るときに、お腹に手をやり。 
もういつでも生まれてきて良いよ、とお腹の赤ちゃんに話しかけた。 





そして、 




5日が過ぎた。 







続く・・・。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?