【命を身ごもり育むということ⑤】
「子供はまだ?」
「子供つくらないの?」
「のんびりしてるとすぐ年取っちゃうよ。」
「旦那さんが40過ぎなんだから早く子供つくらないとかわいそうだよ。」
結婚後8年の間に、いろいろな人たちからこんなことを言われた。
言う人は何も考えないで言っていると思うが、
そんな言葉を向けられたほうはたまったもんじゃない。
子供をつくるのは、簡単なことだと思っている人の言うことなのだろうか。
人間は、動物だけど、幾多の複雑な感情をもつ生命体である。
私は妊娠しにくい体質ではないけれど、私の精神が、妊娠し、子供を産むことを阻んでいた。
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妊娠8ヶ月、9ヶ月頃は、積極的に外出した。
生まれてくる赤ちゃんの肌着や洋服を買ったり、入院準備品を用意し始めた。
臨月になっても私のお腹はほとんど目立たず、大きくならなかったが、
この頃になると、座った状態から立ったりそれから座ったり、そして歩くことも、とても大変になってきた。
でも、この身重の大変さがとても心地よかった。
この頃になると、一つの不安をよく感じるようになった。
それは出産の不安。
初めて体験する出産。
自分はその体験に耐えられるだろうか。
陣痛の苦しさや分娩に耐えられるだろうか。
帝王切開になりやしないか。
そして、赤ちゃんが無事生まれることができるだろうか。
自分の体調も大丈夫だろうか。
出産は、女性の長い歴史。
女性は出産をするもの。
それは当たり前なのかもしれないが、
出産とは、多くの危険が付きまとうものだ。
女性が子供を産むことを当たり前だと思うのは、おろかだと思う。
女性はいくつもの複雑な思い、
葛藤、不安を抱えながら十月十日を過ごすのだ。
これは決して当たり前ではない。
予定日は2006年2月10日。
この日をドキドキしながら迎えた。
だが、検診でも、産まれる様な気配はまだなく、
遅れるだろうと。
出産の不安があるものの、早くわが子に会いたい気持ちが強くあった。
この頃は、早く生まれるようにと、実家から自宅の距離、時間にして、徒歩で20分ほどの距離をよく歩いていた。
夜寝るときに、お腹に手をやり。
もういつでも生まれてきて良いよ、とお腹の赤ちゃんに話しかけた。
そして、
5日が過ぎた。
続く・・・。
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