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Excelでふり返るKIZUNA TOUR ~OTDからJO1単コンはどう変わったか~

はじめに

この記事は、「2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR 'KIZUNA'」Blu-ray & DVDの発売を記念して、「福岡2日目のアーカイブ公開期間中に私が作ったOPEN THE DOORの円盤との公演の比較表を掘り返そう!」という内容です。

もう一度言います。

KIZUNAツアー追加公演の円盤販売のタイミングに「KIZUNAツアー本公演と過去公演の比較記事」を書きました。

いやだって追加公演の配信後にそれも反映してまとめて記事出そうと思ってたのに配信なかったんからさ…

でもまあ、せっかくまとめたので、みなさんが追加公演の円盤見るにあたって、本公演~追加公演の間での変化を見つける素材にでもなればいいかなあと思います。

そもそもの趣旨

では、なぜ私がKIZUNAツアーとOTD公演を比較しようと思ったか?
それは「同じ規模感のコンサートで、しかも今回はツアーで、前回の単コンからこんなに内容が変わることある?なんで?」と率直に感じたからです。

私はKIZUNAツアー大阪公演に参加予定だったのですが、初日参加の方々が投下するレポの内容は予想外のものでした。
「”公演時間3.5時間・ど頭5曲連続・全曲バンド編成・25曲披露”って何?!」
オタク特有の過剰表現じゃないのか、と正直なところ半信半疑でしたが、大阪で、あの日目にした称賛に偽りがないことを実感いたしました。

しかし同時に、2021年秋から約10ヶ月でのこの大きな大きな変化の要因を、「メンバーたち自身の努力」ただそれだけで括ってしまうのは、いささか早計に感じたのです。(もちろん彼らの熱意が一番ウェイトを占めていることは、重々承知です。

自分が目で見て、体感したことを踏まえ、彼らの成長の他にどういった要素が、OTD公演からの大きな変化を形作っているのか、一度分析してみたいと強く感じました。

そこで、大阪公演後に「これからやる配信と、すでに販売済みの円盤は利用しよう!」とKIZUNA福岡2日目アーカイブとOTDの映像を見返し、時間の分配や立ち位置、演出方法を公演ごとに表にまとめました。
その上で両者を比較し、OTDからKIZUNAツアーで具体的に何が変わったのか何がこのKIZUNAツアーの熱狂を生んだのか、分析してみた次第です。

なお、前述の通り、配信視聴していた9/22 福岡公演2日目(※本公演の最終日)以外だと 私自身は9/10 大阪公演に参加していたので、そこでの内容も少しだけ反映しています。

また、なにか記載事項に不備あるかもしれませんが、まとめたのが10月頭とだいぶ前で、特にKIZUNAツアー本公演の配信アーカイブは現状見返す術がないので、大幅な計算ミスや誤表記など致命的な内容以外は、どうか多めに見ていただければと思います…。

OTD・KIZUNA 公演構成表

これ以降の分析に関しては、下の表1・表2をベースに進めていきたいと思います。各項で必要な内容は抜粋・抽出するので、興味があれば目を通していただく程度で良いかと。

表1 / 2021 JO1 “OPEN THE DOOR”
公演日:2021/11/21 、媒体:DVD・Blu-ray 
(※クリックで拡大表示)
表2 / 2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR 'KIZUNA'
公演日:2022/9/22 配信媒体:ライブストリーミング(アーカイブ)
(※クリックで拡大表示)

それでは分析に入りたいと思います。

1. 時間配分

表3 / 公演時間・曲数といった、公演全体のボリューム感の比較
表4 / 各公演での時間の使い方の比較

※OTDは編集後、KIZUNAは編集前の映像であるので、単純な総時間での比較はなるべくせず、パフォーマンスなど要素を抽出したうえで、2点の大きな変化について述べたいと思います。

●パフォーマンス総時間の増加

まず、特出すべきは披露した曲数の増加でしょう。
OTDでは全体で19曲でしたが、KIZUNA福岡では26曲と、曲数ベースだと約37%増となっています。(※表3「総曲数」)
また、曲の繋ぎやバンドアレンジを除いた、単純なパフォーマンス時間でもほぼ同等の割合増加しています。(※表4「パフォ」)

ただ注釈を添えるとすれば、
・ユニット曲が、OTDは参加メンバー日替わりで1曲だったのに対し、
 KIZUNAは毎回3曲披露されていた
・福岡2日目はスパカリ初披露で通常より1曲多い
・KIZUNAはメドレーで4曲短縮版を組み込んでいる

という3点はおさえて置くべきかと思います。
これらを踏まえて先ほどの総パフォーマンス時間を見ると、福岡2日目より前の公演、かつ1人あたりでは約10分圧縮されます。なので、観客が見て感じる曲数ベースの増加と同じ分の負荷が個人に加わっているわけではないことがわかるかと思います。
(それでも1人頭換算でもパフォ時間の前回比約120%なんですが…。)

追加公演まで終わった今この状況を見返すと、MIDNIGHT SUNのリリース経てセトリを更に増やし、オーラスでのダブルアンコールも加わることを見越していたのかなあと、個人的には想像しています。
あるいは、本公演の構成を11人全員が完遂できなかった場合には、ひょっとしたら追加公演では曲目追加ではなく、曲の変更のみとなっていた可能性もあるかもしれません。
(この振り返り考察はあくまで個人の想像ですのであしからず。)

●ブロック尺・連続歌唱時間の増加

VCRから次のVCRまでのブロックの数(=ある衣装で出ててきて、捌けて次の衣装に着替えるまでの大きなまとまり)、
そしてそのブロックの中で挟まる切れ目(MCなど)を設ける回数は
OTDと比べ、逆に減っています。(やる曲はこんなに増えてるのに!)

結果として、KIZUNAツアーではブロック尺の平均時間は63.6%増、
連続歌唱時間の平均は55.4%増と驚異の値を出しています。

実際にセトリを見比べてみると、表1のOTDでは「14. Shine A Light」~「16. ツカメ〜It's Coming〜」の3曲連続が時間的にも曲数的にも最大となっていました。
しかし、KIZUNAツアーでは、冒頭の5曲連続披露後か、本編・アンコールを締める前といったタイミング以外、3曲以上連続して披露するのが基本となっています。メンバーのスタミナがいかに増したかが見て取れます。

そのほかすべて気になる点を詳細に書くと本当に長くなるので箇条書きになりますが、下記のような指摘もできるかと思います。

VCR1回あたりの時間の平均が増加 (OTD 5分16秒 → KIZUNA 7分4秒)
→着替え・休憩・スタンバイの時間を長く確保している?

・前回でもあった練り歩いての挨拶タイムに加え、KIZUNAバーなど、
 音楽が流れているけど厳密にはパフォーマンスではない時間が増加
(表4「他」)
→バンド編成で、時間の調整が効きやすいからこその新しい要素

以上が2公演における時間の配分をベースを比較した分析です。
次の比較項目に移ります。

2.演出面での変化

さきにパッとわかる変化を上げておくと
●全編バンド編成
●バックダンサーあり
●特効や舞台装置などのバリエーションが増えた
といった要素になるかと思います。
これらによって、これまで何度も披露されてきた曲であっても全く別の印象になり、また、一つの公演の中でも幅広い曲の見せ方が展開できたのだと感じています。

●セトリ・衣装以外での日替わり要素の追加

日替わり要素は、「この日ならではの特別感」を一層際立たせるものです。
OTDでも「8.MONSTAR」やユニット曲「9.Dance Type Beat」のタイミングで披露する曲目や、各ブロックで着る衣装のなど、日替わり要素はきちんと用意されていました。
ただ、セトリ・服装というものはパターンがある程度予想できるもの。
KIZUNAツアーではそういった予想できる日替わり要素もありつつ、流れはお決まりとなっているけれども、その日その公演でどうなるのかわからない要素が充実していたように感じます。
たとえば
・Grand Master終わりのダンスソロリレー
・KIZUNA's BARでの寸劇および瑠姫による〆のフレーズ
・Dreaming Night冒頭での翔也からの指名
(・純喜のオートファジー布教と粋なBGM、ダレるメンバー)
が挙げられます。
このように日替わり要素が沢山盛り込みつつも、公演として一つにしっかりまとめ上げられているのは、メンバーの中で一つ一つの流れがきちんと腹落ちしているのと同時に、日替わり要素で取り組む内容自体にはそこまで無理がないんだろうなあと見ていて思いました。

●繋ぎのアレンジ要素の増加

OTDでは曲の前の導入としてアレンジを入れるタイミングは何度かありましたが、曲と曲の間をつなぐアレンジおよび照明演出はそこまで多くはなく、曲が終わったら、暗転し、メンバーは立ち位置をうつり、その後次の曲が始まるといった流れが主流でした。
しかしKIZUNAツアーでは、むしろ曲の導入ではアレンジ演出を使わず、曲間でのアレンジ演出のタイミングをたくさん設けています。(※表1・表4「繋ぎ」)
これを実際見た感覚としては、聴覚・視覚的な途切れ目がほぼない状態で次の曲に入り、「次の曲はなんだ…?」といったドキドキ感も加わるので、連続披露にあたっての” 畳み掛ける感 ”がより一層強調されているような印象を受けました。

●自分の歌唱パートでは正規の振り付けを”あえてやらない”

前回の幕張ではTVでのパフォーマンス時のように、振り付けがある曲では歌唱担当者も振り付けをきちんとやった上で歌っていました。
しかし、今回では、多くのメンバーが歌唱パートがある場合には正規の振り付けをやらずにポージング程度に抑えつつ歌っている姿というのが印象的でした。
これは単純に前回と比べてやる曲が増えた中、コンサート全編で安定した質を見せつつ、ツアーを完遂するということを意識した上での選択なのかと見ています。
メンバー全員歌の安定度が増していること自体が大きな要因ではあるとは思いますが、正直OTDよりも歌唱面で「あ~」と思うタイミングはとても減りました。また、このように振り付けを一部簡易化しても、その曲の骨格を削がないような立ち振舞いがそれぞれできるようになったのだなぁというのも新しい発見です。
歌唱面ではありませんが、メンバーによって、「19.OH-EH-OH」のラストでジャケットを脱ぐ/脱がないが違ったり、曲によってはヘッドセットかハンドマイクかが違ったりするのも、パフォーマンスの安定性を意識した上で、各々やりやすい形を選択しているのかな?と考えながらアーカイブをみていた次第です。

大阪で見たときにはグラマスあたりで碧海がヘッドセット派だったのに、福岡の配信でハンドマイク派に変わっていました。OTDではお休み期間だった分、”スカイはマイク水没させがち”というノウハウがまだなく、ツアーの途中で反映されたのかもしれません。

VCRの質の向上
これはあくまで私の受けた印象が大きいのですが、映像を通して、演出と観客とで意思疎通ができているというか、演出側からのメンバーへの理解度が深まったことが伝わってくる映像になっていました。
あとは、画面上で受けるストレスがどんどん減っています。STARLIGHT DELUXEの冒頭の宇宙船内の映像内では、使っているフォントが映像の壮大感に対してあまりマッチしておらず、度々議論される「海外映像コンテンツの日本ローカライズの際にMSゴシックしか使われない問題」のような違和感がありました。OTDでは目に見えて改善され、KIZUNAツアーではほぼゼロだったかと思います。クレジット見ると、VCRは韓国で撮影・編集していたようなので、映像制作側の日本用映像の体制が強化されてきたのかなあ、と想像しています。VCRの絵面はどんどん洗練され、JO1メンバーおよびコンサートを魅力的に見せる一要素としての役割を完璧に担っていました。

最後に

いろいろトピックを上げつつOTDとKIZUNAツアー本公演との比較・分析を行ってきました。これを踏まえあらためて感じるのは、最初に述べた前提である「メンバーひとりひとりが今回のツアーまでにどれだけ実力を伸ばしたのか」というそもそもわかりきっていたこととともに、制作陣から彼らへの信頼が「2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR 'KIZUNA'」という公演に強く反映されているということです。(”彼らにはできる”って思ってなかったら、ここまで要素上乗せしないよね。)

あとは、ちょっとした間や、映像のクオリティといった、観客側が冷静になりうる要素が前回と比べてことごとく排除されたということ。以前、某グループのドキュメンタリー映画の中で、ベテランコンサートスタッフが「海外ではライブの中で無音パートが入ると一気に会場が冷めてしまう」と語っていたのを見て「へ~」と思った記憶があるのですが、見る側を冷静にさせる余地を与えないってこんなに印象の差ができるんだと実感した次第です。オタクなんて狂わせられるだけ狂わせておけばいいんだなぁ…。

JO1というグループは日本のアイドルグループの中で、成り立ちも運営形式も新しく、特殊です。こういったアリーナ規模でのコンサートを連続して開催し、2回目で本人たちの能力や演出面でのノウハウが同時にハネる、というのを体験できるのは、国内ではなかなか稀有な状況ではないか?と思い、今回の記事を作成いたしました。
(日本でアリーナ規模のコンサートを行うグループとなると、ホール規模での単独公演の経験が何度かあるか、演出面でのノウハウがすでにある事務所所属のどちらか、ないし両方が多いのかなあとぼんやり想像しています。)

また、今回はOTDとKIZUNAツアーの比較でよくなったポイントを上げてきましたが、一つのコンサートとして見た場合には、「もっと〇〇だったら良かったのになぁ」という指摘がTwitter上でもありましたし、私自身もいくつか感じている部分があります。しかし、私自身は「OTDを経てのKIZUNAがこれなら、KIZUNAからの次はどんなものになってしまうのか?」という期待と恐怖(主に自分の体力面での)が入り混じった感覚をおぼえます。

2023年3月現在、JO1はすでに次のツアー開催が発表されています。そして、外部イベントで披露済みのもの、これから発売されるもの、合わせて前のツアーからの新曲は10曲弱あります。これらを引っ提げ、2023年夏にJO1が見せてくれるのは、OTDを超える喜びか、KIZUNAを超える驚きか、はたまた全く新しいなにかなのか…。彼らのこれからを想像するのが、私はただただ楽しくてしょうがありません。

とりあえず、またKIZUNAツアー円盤を見ながらまた色々分析し、その日を首を長く長くして待とうと思います。