安心しててね
12月1日(金)
朝寝坊する。
玄関の引き戸をガラガラッと開けて、朝の冷たい空気を深く吸い込む。
空や、クローバー畑や、りんごの木や、小鳥たち、朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつする。
りんごの木を見る。急にぐんと寒くなったからなのか、りんごの実がいっきに紅くなった。いつものように幹を なでなでする。
カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。今日はタブレット型のエサにする。ルーちゃんが大好き。ウーちゃんはアカムシの方が好き。
ウーちゃんは頭にエサが乗っかっていても気がつかないで じっとしている。それがまた可愛い。水を換える。
さつまいもを ふたつオーブンに入れる。さつまいもが焼き芋になる甘い香りが部屋を満たす。至福の香り。
仕事をする。
午後、コープのNさんが食材を運んでくれる。
「クローバーって、1年中咲いてるんですね。」と、Nさん。
「そうなの。夏はちょっと枯れるけど、大体緑色してるの。真冬はどうなるか分からないけど。」と、私。
「春は花がすごかったですね。」と、Nさんが笑顔になった。それから、
「最近、野菜と果物が減りましたね。」と、Nさん。
「うん、お隣の人がときどきお買い物に連れていってくれるようになったの。」と、私。
「そうなんですか、親切ですね。」とNさんがびっくりしていた。
食材を、ひよこ色の冷蔵庫に入れてゆく。
次にグリーンコープさんの元気カーがやってきた。いつものように、てくてく歩いてゆく。はなおさんが両手を振っている。私も手を振る。
今日はUさんが来ていなかった。なので約束通り、お刺身と、ごぼ天2本と、まる天2枚を買って、Uさんの家へ てくてく歩いてゆく。
ピンポーン。と、チャイムを鳴らす。
「は〜い。」と、Uさんの声。
「こんにちは。グリーンコープです!」と言って、扉を開ける。
びっくりしているUさん。そして、
「すっかり忘れてた〜!」と笑った。
お刺身とごぼ天とまる天を手渡すと、とても喜んでくれた。
「今日は本当にすっかり忘れてた。ごめんね、ありがとう。」と、Uさん。
「忘れても大丈夫ですよ。買ってくるから安心しててね。」と、私。
Uさんは少し耳が遠いので、大きな声でゆっくり話す。
「みるちゃん、かぼちゃあげる。」と言ってくれた。
「かぼちゃは今日コープさんが持って来てくれたからいいです。」と、私。
「じゃぁ、里芋持って帰って。日持ちするから。」と、Uさんが里芋を手渡してくれた。
「ありがとう。」と言って受けとり、てくてく歩いて帰る。
途中、Kさんが大きなお豆腐を片手で持って歩いていた。元気カーで買ったようだ。
「寒いね〜。」とKさん。毛糸の帽子が可愛い。
「さむ〜い。」と、私。
「寒いから今日は湯豆腐にしようと思って。」と、Kさんが大きなお豆腐を見せてくれた。
「わぁ、いいですね〜。おいしそ〜。」と、私。
「じゃぁ、またね。」と言ってお互い手を振る。
はなおさんが家まで荷物を運んでくれた。そして、りんごの木を見て、
「真っ赤っかや〜。」と、うれしそうに笑った。
食材を冷蔵庫に詰める。
仕事をする。
修一郎が起きてくる。食事の用意をする。
仕事をする。
夕食の支度をする。
夕方、雨が ぽつぽつ降ってきた。クローバー畑とりんごの木に落ちる雨を眺めていると、優しい夢をみているきぶんになる。
ごはんさんとお買い物に行く。
くるみが買いたいなと思っていた。私は食べれないけど、サラダとかお菓子に使う。生くるみを買って、使う前にオーブンで軽くローストする。すると、サクッとして香ばしい。
道中、昨日の日記に書いたウーパーの ぶくぶくの話になった。ごはんさんが
「あの、ぶくぶく作れますよ。」と言った。
「え。」と、私。
「ウーちゃんのシャワーカーテン長いから、あれをぐるぐる渦巻きにするといいですよ。」と、ごはんさん。
「なるほど。」
そうしたら、ウーちゃんは ぐるぐる巻きの ぶくぶくの上に乗って遊ぶだろう。ふふ。ふふふ。はっはっはっ。やった。
帰り道では、歌をうたったり、ごはんさんが面白いことを言ったり、ソルティライチを飲んだりした。そして、車に乗せてもらっている間、目と腕を休ませることができた。
家に帰ると、修一郎がお土産を喜んだ。
夕食後、仕事をする。
夜、庭に出る。
月が明るい。また少しずつ三日月に向かっている。月明かりに照らされた雲が優雅に流れてゆく。夜が深くなってゆく。空気は冷たいけれど、まだ吐く息は白くならない。
夜のぜんぶに「おやすみ。」と言う。「おやすみ。」と、言えることが幸せだ。
遊びに出ていたカカオが戻ってきた。いっしょに家に入る。
もう少しだけ仕事をしよう。
今日もいい一日だった。
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