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30回は道をまちがえた

3月27日(水)
朝、目が覚める。うーん。と伸びをする。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

カカオにご飯をあげる。
今日もブータンはいない。気になる。春になると男の子の猫は ふらりと旅に出ることがある。ある日忽然と現れたブータン。旅に出た可能性が高い。

庭に出る。

「にゃー。」という声がした。

久しぶりにクロちゃんが遊びにきた。

「クロちゃん、久しぶり。カカオは中でご飯食べてるよ。」と、話しかける。

「にゃーにゃー。」と言いながら、しっぽを ぴん と立てて すりすりしてくる。なでなでする。カカオが出てきた。ふたりで遊びに出かけた。
陽射しが、風が、春だなぁ。

ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげて水を換える。

修一郎の食事を用意する。

灯油屋さんが来たり、荷物が届いたり。

ごはんさんの生き物たちにエサをあげたりあれこれ用事をする。

出かける支度をする。
今日は、こもれびの森に行こうと思っている。私にとっては遠いので、ごはんさんに
「明日行かなくていいよ。」と何度も言われた。でも、気になることがあった。なので行くことにする。

ぽかぽかの陽射しの中、しゅっぱーつ!

途中で 植物屋さんの たかしまえんへ寄ることにする。ナビがあっても道に迷う。
スムージーとバナナシフォンケーキを買う。

こもれびの森へ。

道に迷う。Googleマップに案内してもらっているのに、迷う。
でも、走る車にキラキラこぼれてくる木漏れ日が きれいで楽しくなる。光の子供が遊んでいるみたい。桜の花が咲きはじめている。胸が きゅうっと軋む。桜を見るたび思いだすことがある。

なんとか到着。
先日より桜の花がたくさん咲いていた。きれいできれいで見とれる。胸が きゅうっと軋む。ひばりの声が高らかに美しく響き渡る。胸がふるえる。
用事を済ませる。

帰り道、また迷う。
20回くらい、まちがっていると思う。その度、Googleマップは新しい道を教えてくれる。すごいなぁ。もちろんイライラもしていない。助かるなぁ。

帰っている途中で、はっとする。
スムージーとバナナシフォンケーキを買ったとき、お金を払うのをすっかり忘れていたことを思いだしたのだ。慌てて戻る。道に迷う。

なんとか到着。

お花のように可愛らしいお店の人が

「どうしたんです?」と驚いて言った。

「私、さっき、お金払うのすっかり忘れていました。さっき、思いだして…。」と、私。

「あ、私もすっかり忘れていました。戻ってきたんですか?いつでもよかったのに。」と、お花さん。

無事、お支払いして ほっとする。

さぁ、帰るぞ。

迷いながら帰る途中、以前ごはんさんが連れて行ってくれた おいしい卵屋さんに寄ってみよう。と思いつく。確か近くのはず。

なんとか到着。
卵と はちみつを買う。

このお店は家から、まぁまぁ近い。ナビもGoogleマップも無くて大丈夫だろう。と思い、車を走らせる。迷った。自分を過信していた。ナビで帰ることにする。すごい。全く反対の方に来ていた。これでは家から遠ざかるばかりだ。

家にずいぶん近づいた。もう分かる。ここで、道路が工事中だった。「迂回してください」と、書いてある。18年前のナビは静かになってしまった。

よろよろ走る。どこかでGoogleマップを開こう。停めれるところがなかったので、細い道に入る。どんどん道が細くなる。周りは田んぼ。Uターンもできなくなった。道の真ん中で止まる。途方に暮れる。家にはすごく近いはずだ。でもすごく遠く感じる。ぐすん。帰れる自信がなくなってきた。Googleマップを開く。

気を取り直して走り出す。
いつの間にか知っている道を走っている。知っている景色。やった!と、胸が躍った。帰れる!よかった!Googleマップよ、お空よありがとう!本当にうれしい。

無事到着。ほっとした。へとへとになった。
これからは、よく知らない道を ひとりで うろうろするのはやめようと強く思った。よく知らないところは 1回に1箇所。それがいい。

ポストに何か届いている。
友人Rさんからだ。長沢芦雪さんの ”うずくまる虎” の絵葉書。愛嬌があって面白い虎の絵。「写真を見る前の私の頭の中のブータン図にそっくり」と書かれていて爆笑する。

修一郎はまだ寝ていた。

お散歩に行く。
霊園の桜は ふっくらふくらんだつぼみのまま、まだ咲いていなかった。可愛い。きゅん。

一昨年お庭に植えた紫と白のムスカリが にょきにょき顔を出している。モッコウバラもたくさんのつぼみをつけている。つるんと何もなかった茎から小さな芽が顔を出している姿は神秘的だ。

ちゃくちゃくと春が訪れているなぁ。いろいろなことがあっても、春の訪れはウキウキする。

夕食の支度をする。

”絵本の完成が遅れますハガキ” を入稿する。

友人WからLINEが来ていた。Wも春が溢れていることを喜んでいる。おんなじだなぁとうれしくなる。

夜、庭に出る。
青みがかった灰色の空。クローバーたちは葉っぱを閉じて眠っている。可愛いな。ちょんちょんと つついて起こす。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。

カカオはいつもの椅子の上でまるくなって眠っている。

いっぱい道に迷ったけれど、
今日もいい一日だった。

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