✡️始まり〜ブラックオリーブ病
🗼⑴ブラックオリーブ病🗼
世界一と名の付く電波塔
その建物には沢山の商業施設が入っている
この物語はその最も高い所で働いている
者達に起こった出来事
ある一室での会話
正村 : で…どうでしたか?
京花:罹患していました。
こんなプライベートなことを
答えなければいけないとは。
そう思いながらも京花は
答えざるをえなかった。
自分の問題なのだ。
心の中で京花は呟いていた
(私は信じている…) と。
ブラックオリーブ病
京花がその名前を聞いたのは
婚約破棄を会社に報告した時。
京花の婚約者は同じ会社だった。
婚約をして結婚まで秒読み
私たちは幸せだった。
彼は私に夢中だったし
常に愛されている自信があった。
結婚後の将来設計も何度も話し合い
つくづく相性の良さを感じた。
お互いの愛情を疑う気持ちは無かった。
なのに
ある日急に彼から別れを告げられる。
仕事が忙しくて3日ほど会わなかった
その間に全てが変わってしまっていた。
✡️
ブラックオリーブ…奇妙な現象
罹患するのは若い男性のみ
病気といってよいのか?
恋心を病というのなら
間違いなく病気なのだろうが…。
関係者の間では何時しか隠語で
ブラックオリーブと呼ぶようになっていた。
その奇妙な現象を確認したのは約2ヶ月前。
20才をすぎたばかりの美しい顔をした青年。
その青年が注目を浴びるのは何も
若さや目を引く容姿ばかりが原因ではない。
彼の家柄や経歴は羨望の的であり、
彼はどのような女性でも選べるほど全てに
恵まれていた。そんな青年が恋をした。
おそらく初恋。
だがその相手に周りは納得しなかった。
いくらでも相手を選べるのに何故?
よりによって彼女なのか?疑問とは裏腹に
何時しかその恋が不思議な現象を生んでいく。
その不思議な現象のせいで
婚約破棄になったカップルは後を絶たない。
✡️
🗼⑵コミュニティのうわさ🗼
1ヶ月前
「これ、お願いします」
仕事の機材を受け取るときに軽く指が触れた。
ただそれだけの事に耳まで真っ赤になり
走り去っていく。その若い男性の後ろ姿を
見送りながらジンイチは複雑な気持ちだ。
(またか…)心の中で呟く
ジンイチは訳が分からない。
最近はいつもこう。
(俺…どんなに美形でもやっぱり野郎より
女の人のが良いな)
彼女いない歴7年にもなるジンイチは呟く。
最近、週3回は若い男性に告白されていた。
ブラックオリーブ病…その日の午後
ジンイチは初めてその名を聞いた。
ジンイチは言った。
🔹つまんねえ!俺はもう若くないってこと?
🔸いや、以前に美形かどうかの問題が!
同僚のアイリンは気心の知れた仲。
男女の友情はあると思う。
🔹いや、美形とか、それなんなの?
🔸極秘だから誰にも言っちゃダメだよ。
エレベーターを待ちながら話していた2人の
横に江洲は静かに立っていた。
話しを聞いている様子は無いが。。。
(極秘って…隣りに江洲がいるじゃん)
そう言おうとした時
江洲がエレベーターのドアの前に歩いていき
聞き耳を立てるような変わった動作をした。
アイリンには何故か江洲が目に入らないらしい
極秘というわりに話し続けている。
江洲は小さい。身体もそうだが顔も小さい。
小さいせいだろうか?全く目立たない。
だがよく見ると非常に整った顔立ちを
している。こんなに綺麗なのに誰も話題にもしないことがジンイチはいつも不思議だった。
その綺麗な顔を歪めて江洲が呟いた。
「何の(こえ)…音?」
ジンイチ(ん?こえ?おと?言い直し?)
前のめりになりながらジンイチが聞いた。
🔹何なに〜?何か聞こえる?
🔸え?なに?エレベーターがどうかした?
ここで初めてアイリンが江洲の存在に気づく。
アイリンもエレベーターの前に寄りながら
恐怖で表情を歪めた。事故か?
🔸何?何か聞こえた?
「あ…」「風の音かも」「風強いですね」
途切れとぎれに江洲は言ったが、完全に目が泳いでいる。ジンイチはその様子を見逃さなかったし言い直しも気になった。だから調子を合わせた。
🔹あぁ、風の音ね。うんうん。
しかしアイリンはまだエレベーターの様子が気になるようだ。
🔸え?風の音?聞こえる?
「聞こえませんか?凄い音聞こえますよね」
今度は江洲が驚く番だ。
(こんなにハッキリと大きく聞こえているのに?)
🔸風の音〜?🔹あーそうそう風の音だね。
🔸そう言われれば?風が強いとね。
ココは凄い高い所だし。🔹風が強いとね。
そうだよね。うんうん。
🔸エレベーターの所は空洞になっているから。
🔹そうそう空洞になってるからね。
ジンイチはこれでもか!と言うくらいに
アイリンの言葉に被せてくる。
アイリンは平静を装っているが完全に怖がっていた。事故では無いと気づいたはずなのにだ。
この建物は特別な造りになっていて
強い風が吹くと揺れるのだ。
今は揺れていない。だからだろうか。
他のスタッフ達が合流してきた。神妙な感じで話しているので興味を示す者もいた。
だから事故では無いと伝えた。
だが話しは終わらない。
噂好きの誰かが聞こえない風の音に興味を示した。「幽霊の噂あるよね」「幽霊出るらしいよ」しかし、何も聞こえないよ!といった誰かのひと言で場が静まりかえった。しーん。
(ん?なんか違和感)
幽霊の話しなんて、いつも皆しているのに。
アイリンが後でその違和感の正体をジンイチに
教えてくれた。
🔸江洲さんはね、特別な家系の出身だから。
霊能力があるんだよ。いろいろ見透かされるから気をつけた方がいいよ。
🔹ふぅん、そういうこと?
ジンイチが珍しく大きな声を出した。
🔸何が?
🔹なんかさぁ、なぁんか変な感じがしてたんだよね。アイリン達の…というか周りの江洲さんに対する態度。だから…そういうことなのかぁ?と思ってさ。でもさ、そーゆーのどうよ?オレは江洲さんのこと知らないけどさぁ。
「だから気をつけたほうが良いよ」って何?
誰か何かされた訳?
ジンイチは一気にまくし立てた。
🔸なにー?気をつけたほうが良いよって言っただけじゃん。何ムキになってんの?
🔹…。
実はジンイチにはムキになる立派な理由がある。でもそれは口が裂けても言えない。
ジンイチの実家は神社だ。皆んな知っている。だが誰にも言っていないだけでその筋ではかなり有名な家系の直系だ。それはどういう事かというと…一般の人よりもちょっと…
いや、かなり。勘が鋭いということだ。
江洲のことは他人事ではない。
変な噂も何もかも明日は我が身だ。
ジンイチは何かを思い出していた。
🔹いや、俺は霊能力とか信じないし。
そんなあやふやなものを怖がるなんて…。
俺はそんな小さな男じゃないから!
🔸は?まさか江洲さんのこと好きとか?
🔹???…!!!
驚き過ぎて声がでなかった。
江洲はすごく綺麗だ。ずっとそう思っていたし性格も良い。話してて楽しい。でも…
改めて考えるとそのような対象に見た事は
1度も無かった。考えた事すらないという事が
不自然に思えてジンイチは驚いた。
🔹??? 俺が…まさか?有り得ない。
🔸ふぅん。ならいいけど。
🔹え?なに?気になるの?なんで?
ジンイチはアイリンのことを友達だと思っている。それ以上では無い。でも少しドキドキする。だって、男と女だし。
🔸え?あぁ…バーカそうじゃないから。
アイリンはそれに気づいてか呆れた様子
🔸ただ…、まさかジンイチもかと思って。
心配になった。
🌸🌸🌸(✿ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾ペコリ
ここまで
読んでくださってありがとうございます♡
続きあります♡
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