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みつあみのカチューシャ

「みつあみカチューシャ」で検索すると出てくる画像に、自分の髪をみつあみにして、それをぐるりと頭に沿わせてカチューシャのようにする髪型がある。漫画で言うと、『Papa told me』の知世ちゃんみたいな感じだ。

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この「みつあみカチューシャ」へのあこがれが強く、もう十分大人だった10年以上前、ショートヘアの私はみつあみをが欲しいなと思い、フェルトで作ることを思いついた。自分用に作ったプロトタイプのカチューシャを改良し、商品として販売するようになるのはもう少しあとのことになる。

みつあみカチューシャは色やリボンの組み合わせを変え、どんどん増えていった。最初に作った頃はこんなにも種類が増えていくとは思いもしなかったので、黒のシンプルなものには「制服のみつあみ」、パールが付いたものには「放課後のみつあみ」と名前を付けた。この〈そのまんま〉な名前は気に入っていたけれど、millionbellからmarie hannahに変えるタイミングで、みつあみカチューシャには史実や映画や小説に描かれる女性の名前から取って付けるように変わっていった。 

小説を書く人や、曲を作る人、ドラマを作る人はどのタイミングでタイトルを付けるのだろう?私はいつもそれを知りたい。

「アクセサリーのネーミングが良いですね」と言われることが多かった。名付けることは、ただの識別のための記号ではなく、自分の手から離れるアクセサリーに冠をかぶせるような行為だと思う。透明な冠を。

ちなみにmarie hannahのハンナは、聖書のサムエル記の「ハンナ」を連想しつつ、自分の名前であるmarieに続けて付けた。

最後に、「みつあみ」が出てくる曲の大好きな一節を紹介したい。

少女たちは皆三つ編みに祈りをこめた(SEBASTIAN X 『つきぬけて』)

込められる思いが「願い」ではなく、「祈り」なのだ。少女たちが自分の髪(または別の少女の髪)をみつあみにするしぐさと、「祈り」という心の内でする行為の呼応がある。「祈りをこめた」という過去形も、なんだかとても良い。過去の少女たちと、今を生きる少女たちと、少女だった私たちと、「三つ編み」によって繋がっている気さえしてくる。

そんなことに思いを馳せながら、これから作りたいみつあみカチューシャのことを考えている。




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