ワイナリー訪問記「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード(長野県・塩尻市)」
2024年8月24日、長野県・塩尻市にある「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」に伺いました。
シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤードについて
「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」は、歴史ある建物を利用して1938年にオープンした小さなワイナリーです。
山梨県と並び日本2大ワイン産地である長野県には65のワイナリーが存在しています(2024年ソムリエ教本より引用)。
今でこそ、桔梗ヶ原といえばメルロー、という印象が強いですが、その始まりは、塩尻市桔梗ヶ原地区にて、契約農家の手によって1976年からメルローの栽培がはじまり、当時は他の品種とブレンドしてワインを造っていたようです。
桔梗ヶ原といえばメルローと言われるようになった所以は、1985年の秋。
メルローがひときわ優れた出来であったことから、単独で初めて瓶詰めされたことが始まりでした。出来上がったワインが初めてリリースされた1989年に、スロヴェニア(旧ユーゴスラビア)の首都リュブリアーナで開かれた国際ワインコンクールにて大金賞を受賞したことで、桔梗ヶ原=メルローの代名詞になりました。
ウォーキングワイナリーツアー
さて、今回は「ベルトラ」という旅行現地オプションツアーのサイトから、口コミが良かったけんちゃん先生が率いるワイナリーツアーに参加ということで、待ち合わせ時間にJR塩尻駅東口にあるぶどう棚へ向かいました。
JR塩尻駅の東口にはメルロー、西口にはマスカットベーリーAのぶどう棚があり、待ち合わせスポットとしても、地元の方や観光客に利用されている場所です。
また、それぞれの出口には、メルシャンで使っていた大樽が飾られています。こちらは、市に寄贈されたもので、以前は、樽の下の方にある小さな入り口から人が入って、樽の中を掃除をしていたという逸話を伺わせていただくことができました。
今回参加したのは、ワイナリーを巡るウォーキングツアー。
てっきりバスツアーだと思い込んで参加者全員がその暑さに一瞬絶句したものの、湿気も少なくて過ごしやすく、昼夜の温度差が大きて(これがぶどうの生育に適しているのだそう)日陰に入ると涼しさすら感じられる気候であることを伺って、初めましてのメンバーは「がんばるぞー!」と一致団結したのでした(笑)
ぶどう畑を歩くワイナリーまでの道筋
駅のぶどう棚を通り過ぎると早くも1件目のワイナリーに差し掛かり「意外と近い!」と思ったのもつかの間「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」のワイナリーまではもうしばらく、とのことで、炎天下の中ウォーキングが続きます。
しかしながら、歩く道中は右にも左にもぶどう畑!!
「こちらの道では、右側を見渡すと棚仕立て、左側を見渡すと垣根仕立てのぶどう畑が広がっています」
「両サイドに栽培されているのはナイアガラです。フォックスフレーバーで有名な白ぶどうですね。綿菓子ような香りとも表現されますね。これは覚えていてください。」
「葉っぱを触って、裏側に毛が生えているのがアメリカ系ぶどう、毛がないのがヨーロッパ系ぶどうですよ」
など、様々なワイン豆知識を散りばめながらのウォーキングで、大変勉強にもなり楽しく前進することができました。
途中、桔梗ヶ原神社で休憩。
日陰に入ると一気に気温が下がり、体をクールダウンできます。
鳥居から覗くぶどう畑はなんだか神々しささえ感じるほどでした。
箱庭ヴィンヤードに到着
桔梗ヶ原神社から少し、歩みを進めて到着したのが、貴重なオープンデーに奇跡に当たった「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」です。
小さなワイナリーのため、「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」は1年に数回だけ開放日が決まっており、たまたまこの日に当たったわたしたち参加者は大変運が良いとのことでした(今年の開放日はあと2回(9月21日、11月2日)の予定)。
このあたりのワイナリーの多くは、トタン屋根の建物を有しており、半地下や全地下の仕組みになっていることから、夏でもそこまで暑くない環境下で、ワインの醸造や熟成がされているということです。
ワイナリーがあるエリアは塩尻市の中でも「桔梗が原」というエリアで、ぶどう品種としてはメルローが有名。ワイナリー中には小さなぶどう畑があり「箱庭」のような小ささから「箱庭ヴィンヤード」と呼ばれ、多くの方から愛されています。
「箱庭ヴィンヤード」は当初、ぶどう栽培農家さんへ垣根仕立てでぶどうを造ってほしいとお願いしたが、その難しさから造ってくれる人が見つかりませんでした。
そこで、1999年に独自でメルローの垣根栽培を始め、ここから一気に垣根仕立ての栽培方法が広まったと言われています。現在ではメルロー以外も栽培されていますが、主力商品としてはやはりメルローとなるそうです。
また、箱庭ヴィンヤードから車で15分ほどの「片岡」というエリアには、カベルネ・フランやピノ・グリ、シャルドネなどを栽培する「片岡ヴィンヤード」も存在していたり、それぞれのテロワールを表現したワインが造られています。
テイスティング
ここからはいよいよお待ちかねのテイスティングです。すべて有料試飲で、リーデルのしっかりとしたグラスで提供してくれます。
この日選んだのは、スパークリングワイン1種と赤ワイン2種の計3種類。
日本のあわ 桔梗ヶ原メルローロゼ
ベリー系のチャーミングな香りが特徴的な辛口のロゼスパークリングワイン。ほのかに感じる柑橘系の香りと、芯のある味わいが、食前酒からお食事を通してすべてのペアリングに最適な印象を受けました。
2015 桔梗ヶ原メルロー
桔梗ヶ原といえば、定番のメルローから、なんとバックヴィンテージ(非売品)がテイスティングにリストアップされていました!
(↓Amazonにはまだ残っているそうです!)
まだまだ青っぽく若い、茎のようなニュアンスも感じられます。
墨、黒系果実のアロマ、きめ細やかなタンニンと柔らかいテクスチャー、更なる熟成に耐えられるポテンシャルの高さとバランスの良さを感じました。
2019 桔梗ヶ原メルロ シグナチャー
桔梗ヶ原の中でも最良の区画から収穫されたメルローだけを選別して造られる「シグナチャー」の最新ヴィンテージ2019年をいただきました。
深みのある圧倒的な香り、甘いタンニン、スパイスのニュアンス。こちらもまだまだ熟成が楽しみなワインです。
(↓ヴィンテージ違いのシグナチャーです)
まとめ
「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」は、1年に数回だけ一般公開されており、ちょうど長野県に伺うタイミングと重なったことが奇跡に思えました。また、普段は入ることのできない醸造施設や、熟成中の木樽を間近で見ることができ、ワインへのワクワクがさらに高まりました。
銘醸地である長野県・塩原を代表するワイナリーである「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ヴィンヤード」は、それぞれのヴィンヤードごとのテロワールを表現した高品質のワインを造り続けています。
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