もっときれいな文字を書きたい
以前に少し話したように,私は小さい頃は字を書くのが好きだった。しかし,いつの間にやら字を書くのが苦手になってしまった。
その理由は極端な癖字である。「字を書く」というより「字を描く」と言った方が正しいのではないかと思うようなフリーダムな文字を描くのだ。特徴としては,上下に飛び出る部分が極端になっていること,漢字に対してひらがな,特に助詞の大きさが格段に小さく,文章全体でバランスを取っていることなどがあげられる。
昔教育機関に勤めていた頃,毎日の連絡がかかれた掲示物に一言メッセージを添える風習があった。毎日「勉強頑張れ!」ではつまらないので,このnoteに書いているような文章をぐだぐだ書いていることが多かったのだが,コラム的な内容と共に,特徴的な文字は刺激の少ない学生たちになんとなく好評で,「星野フォント」を作りたい,とまで言ってもらっていた。
現在も友人や私の文字を見たTwitterフォロワーさんからは,「好き」とか「素敵」と言ってもらうことが多いのだが,「イラストの横に添える詩っぽい」字体なので,公的な書類や小学校への提出書類に字を書くときには若干向かない文字である。
更なる弊害もある。ひらがなの「わ」と「れ」の区別が文脈上でしか区別がつかないのだ。
ドラゴンクエストはファミコン版Ⅱが至高と思っている懐古厨な私は,5年に1回くらいの頻度でファミコン版ドラクエⅡをプレイする。しかし,
ゆうて いみや おうきむ
こうほ りいゆ うじとり
やまあ きらぺ ぺぺぺぺ
ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ
ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺ
のような復活の呪文(40代くらいの方ならご存じかもしれない。ドラクエ1・2では,データのセーブ機能が備わっていないので,毎回平仮名最大52文字の「復活の呪文」をノートにメモし,次回の開始時に入力する必要があった。)で何度も何度も「自分の書いた文字が何かわからない」という理由で前回のセーブデータをロードできない悲劇を起こしてしまった。(スマホで写真を取ればよいと気が付くのに随分時間がかかった)
また,まだまだ文字の読み書きが危うい子を持つ身としても,「お母さんの書いた字が読めない」というのは非常に教育上よろしくない。「さ」や「そ」を教科書通りに書く練習をしたが,未だに慣れない。
最近つらいものがもう一つ増えた。小学校の連絡帳だ。なんと縦書きなのである。上下に大幅にはみ出すことでバランスをとる私の文字は,縦書きになるとどうしようもなく下手に見える。連絡帳に書かなければいけない問題を一つ抱えているのだが,縦書きで長い文章を書くのが嫌だという理由で伸ばし伸ばしにしてしまっている。
小さなころは,大人になれば自然ときれいな字になるのだと思っていた。私の父は普段使いの丸文字系文字と仕事用の文字を使い分けるし,母も読みやすい文字を書く。思春期に習字教室で培ったきれいな文字が嫌で,敢えて丸文字を練習したのも,大人になればきれいな字が自然と書けるようになると思っていたからだ。
実際はどうだろう。社会に出て提出いただいた書類を見ることも増えたが,大人だからと言ってきれいな文字とは限らないし,学生でも抜群に綺麗な文字の方はいる。結局のところ、わたしの文字は、真摯に向き合って文字を書いた時、その自分の字の下手さを見たくなくて、大幅な癖をつけて誤魔化しているだけにすぎない。文字の癖はその人の生き様を表しているだけなのだなとひたすら反省する日々を送っている。
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