BIG LOVEは巡るよ、どこまでも。 笠原桃奈のデビューに添えて
サバイバルオーディション番組との出会い
アホみたいに鯖番にハマったことにより、私の人生は狂いはじめた。
「PRODUCE 101 JAPAN」(通称:日プ)は、男性アイドルグループ「JO1」や「INI」などを輩出した、サバイバルオーディション番組(通称:鯖番)だ。
その女性バージョンである「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」(通称:日プ女子)が、2023年10月から12月にかけて配信された。
もともと恋愛リアリティ番組が大大大大好きで、勝手に自分の推しを作っては「この子には是非とも幸せになっていただきたい…」と応援するように視聴してきたが、日プではリアルタイムで推しに投票することができ、その結果が翌週の配信にダイレクトに反映されていく。
自分の投じた一票がひとりの女の子の人生を左右するというプレッシャーと臨場感にアドレナリンがドバドバと出まくった。
その結果、この2ヶ月間は寝る間も惜しんで推しのチッケム(1人のメンバーにフォーカスした動画)をブン回して再生回数を稼いだり、推しの名前でパブサをして「大勢の人に推しが注目されていく様(さま)」を追っては「ついに見つかっちまったようだ」と謎の優越感に浸ったり、友人とLINEグループを作ってリアルタイム視聴しながら「うちの推しが輝いてる」「この子も捨てがたい」と夜通し騒いだりなどして過ごした。
人生のなかでも最高に濃密で充実していた60日間であった。
そのなかで、私の1pick(推しメン)である笠原桃奈さんは、もともとアイドルグループ「アンジュルム」のメンバーだった。12歳でデビューし、18歳で卒業した桃奈。イマドキのアイドルにしては早すぎる卒業だと思う。
それもそのはず、彼女はアンジュルムとして活動するなかで「海外に身を置き、歌とダンスを勉強したい」という新しい夢を抱き始めていたからだ。
私は2020年〜の新規ハロヲタで、桃奈を知るころにはすでに卒業が決まっていた。だから、弱冠12歳でアイドルになった桃奈の当時のことはリアルタイムで追っていたわけではないが、過去の動画を見ると、まるで生まれたての赤ちゃんにしか見えない。
きゅるきゅるな瞳に、もっちり桃色のほっぺ。無邪気にはしゃぐ姿は、まるでゴールデンレトリバーのよう。
初見でも、アンジュルムのお姉様方から無茶苦茶に可愛がられている様子が伝わってくる。初孫でも生まれたんか???ってぐらいに、みんなデロデロに顔が溶けていた。
その甲斐あってか、最初はガチガチに緊張して人見知りだった桃奈も、数ヶ月後にはすっかり打ち解け、「暴れん坊」「大型犬」と呼ばれるようになった。
「賞賛も批判も愛してる」笠原桃奈という女の子
そんな「みんなの妹」末っ子桃奈が2年ぶりに帰ってきた。
20歳になった彼女は、番組のなかでリーダーを務めたり、歳下の子たちの面倒を見たりと、すっかりお姉さんになっていて、大して彼女の過去を知らないくせになぜか「感慨深い…」と涙する自分がいた。
天才的なアイドル様は、韓国で修行を積み、以前よりもパワーアップしたパフォーマンスで私の心を釘付けにした。
なんせ101人もの参加者がいるので、番組内で彼女にスポットライトが当たる時間は限られていたが、そのなかでも印象的だったのが、彼女が事あるごとに「愛してまァす!!!!」と口にすることだった。
第1回順位発表式で1位候補になったとき、壇上で桃奈は「私は心ちゃんを愛しています!」 「どの順位でも、心ちゃんとならどこまでも行けると思っているので!」と、もうひとりの1位候補者に愛を贈り、「あれ、私たちってふたりの結婚式に参列してたんだっけ?」とSNSがザワついた。
コンセプトバトルのラップでは、「賞賛も批判も愛してるわ」という名リリックを残し、最終回では「ここまで一緒に走り抜けて闘ってきてくださった国民プロデューサーの皆さん、出会ってくれた仲間のみんな、保護者の皆さん、トレーナーの皆さん、愛してまァす!!」とクソデカボイスで叫んだ。
愛に溢れた女の子・笠原桃奈。
それもそのはず、彼女を育てたグループ・アンジュルムが大切にしている言葉は、他でもない「BIG LOVE」なのである。
可愛い可愛い妹として、アンジュルムのメンバーやファンに愛されてきた桃奈は今、アイドルという仕事に愛を持ち、メンバーに愛を注ぎ、ファンにたくさんの愛を届けている。
誰かからもらった愛は、誰かにまた巡っていく
さて、ここからいきなり私の話で恐縮だが、先日、住んでいるシェアハウスのパーティーでひとりの男の子と出会った。
1ヶ月前に入居したと言う彼は、何となく輪のなかに入るタイミングを逃してしまい、ずっと部屋のなかで過ごしていたのだそうだ。どこか緊張した面持ちで所在なく佇む彼に、少し前の自分が重なった。
人との関わりを避けてきた自分を変えたくて引っ越してきたけれど、ラウンジに降りるときはいつだって足がすくんだ。
すでに関係性が構築されているなかに、新しく飛び込んでいくのは勇気がいる。会社や大学のサークルなどとは違って、上司や先輩のような存在がいるわけでもないし、手取り足取り教えてもらえるわけでもない。
自分が一言も喋らずとも、みんなが仲睦まじく話している様子を見ていると、「別に自分なんていらないよな」と思えてくるし、実際、多分、いらない。自分ひとりいなくても関係性も会話も成り立ってしまう。
大人数のなかでは、「唯一無二」で「必要不可欠な存在」になるのが難しいのだ。
でも、そんななかでも声をかけてくれる人がいた。「何階に住んでるの?」「今度こんなイベントがあるからおいでよ」「一緒にごはんを食べよう」。
その言葉に、どれだけ救われたことだろう。何気ない言葉に、「こんな見ず知らずの人に優しくしてくれるなんて!」とどんなに恩を感じただろう。
私は腹に力を込める。正直、他人なんてどうでもいいし、知らない人と話すのはカロリーを使う。特別に話したいことがあるわけじゃない。でも。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
誰かからもらった愛は、誰かにまた巡っていく。願わくば私もその一部になれたらいいな、と思う。それは、桃奈が教えてくれたことだ。
桃奈、デビュー本当におめでとう。あなたが仲間たちと頑張っている姿を見せてくれたから、慣れないシェアハウスの生活も頑張ろうと思えたよ。
桃奈の進む道がキラキラと輝くものでありますように。
愛してるよ!!!!!
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