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この世に存在するすべての生き物の中で最高にかっこいい男

もうじき一月も終わりですね。こんばんは。薫野みるくです。
タイトルが気になってクリックした方、ようこそいらっしゃいました。今日は、「男としてのかっこよさ」について語ります。

結論から申し上げますと、「この世に存在するすべての生き物の中で最高にかっこいい男」とは、私の恋人なのです。以下に引用した、せかいいちかわいい女の子・カヲルちゃんのきょうだいにして、今は長兄となった猫、王子(仮名)です。

見た目の申し分ない美しさもさることながら、何よりかっこいいのは、その性格です。我が家には生き物男子が一人しかいなかったので、ヒトは王子に頼り切り。時に父親のように、兄のように、家族を守ってくれています。

カヲルちゃんは、本当にかわいいですが、頭がいいぶん、悔しがりでもありました。あるとき、王子のおしっこに少量の血が混じっていて、心配で動物病院に行った日のこと。そこは猫専門の小さい病院で、待合室は道路に面していました。椅子は五つほど置かれていますが、何しろ奥行きもなく、他に2人もいれば、立っているだけでも邪魔になるのです。私は王子の順番まで、外に出て待っていました。しばらくして、先に来ていた患者さんが帰り、やっと王子が診察室に呼ばれます。
わざわざ猫病院を開くくらいですから、先生は大の猫好きなのでしょう。ですが、最近の動物病院の医師にしては珍しく、その先生はあまり気さくではありませんでした。すこし寂しくもありましたが、先生は私たちに軽く問診をすると、王子を触診し、レントゲン、エコーと、ゆっくり丁寧に、時間をかけてみてくれました。
その時の結論としては、年相応に腎機能が落ちている。左の腎臓はほとんど機能しておらず、注意が必要でしょうと。もともと小さく、最新の設備が整っているところではありません。さらに詳しく調べてもらうなら、と、提携の動物病院のパンフレットをもらいました。
完全室内飼いで、ずっと元気だったので、私たちは王子の状態に大きなショックを受けました。今思うと、この時からすでに「慢性腎不全」といえる症状だったのでしょう。2015年10月。王子が10歳になったばかりの頃ですね。はっきり「腎不全」だと知ったのは、2018年7月です。第二王子を迎えることになり、ワクチンのついでに、と受けた健康診断で発覚しました。

明らかな不調がなければ、ワクチン接種もしていませんでした。その理由は、王子の帰宅後、カヲルちゃんが怒るからなのです。
病院のにおい、ひとりで留守番をしていたこと(その後、王子の通院には母だけ行くこともありましたが)、不安、心細さ……。王子が帰って来ると、カヲルちゃんはそれを解消するかのように威嚇し、王子を叩きます。それは長い時では、一週間ほど続きました。
だったら、と一緒に病院に行っても、駄目なのです。帰宅後に王子は必ず、カヲルちゃんに怒られる。私たちは王子がかわいそうで、よっぽどのことがなければ、自宅で様子を見るようにしていました。

そこで、王子がどれだけかっこいいかを語るエピソードの本題に入ります。王子は、カヲルちゃんにどんなに叩かれても、理不尽な目に遭っても、カヲルちゃんに手をあげたことはありません。ただじっと、いつものように窓際のベッドで二人仲良く眠れることを信じて、一度も反撃もしないのです。

「いいよ。カヲルは寂しかったんだよ。悔しいんだよ。こんなふうに八つ当たりしてかっこ悪いって、わかってるよ。でもプライドが高いから、やめ時がわからないでいる。俺はだいじょうぶ。カヲルのご機嫌が直るまで、我慢するからさ」
隣り合うとカヲルちゃんが王子をぶつので、その間、ごはんも一人で食べていた王子。でも王子は、どんな時でもカヲルちゃんが大好きです。もう会えなくなってしまった今でもずっと。

このとき、こんなに内面が男らしく、やさしく、かっこいい子がいるのかと、母と震えました。王子は、きっと一般的な猫の数倍の知能をもっています。情緒や表情が豊かで、ヒトとは言葉は通じませんが、鳴き方や身体の動かし方をもって、じょうずに気持ちや要求を伝えてくれます。
きょうだい、特に女の子のことを思いやるって、ヒトの子供に教えるのもなかなか難しいと思います。王子には、それが備わっている。昨年、新たな保護猫を迎えましたが、とってもやんちゃで、王子の耳を噛んだり、追いかけたりと、第二姫は毎日やりたい放題です。王子は、第二姫にも、怒りません。「小さい女の子なんだから」と、多少いやだという表現はしますが、かわいがって育ててくれています。

そんな王子も、もう15歳。カヲルちゃんが突然お空に帰ってしまったように、いつか必ず、お別れの日はやってきます。普段から意識的に、そういう考えはなくしていかなければいけないのですが、私はカヲルちゃんにもう触れられなくなってしまった日から、失うことの恐怖を抱えて生きているのです。
いまは王子、第二王子、第二姫の3匹で、しあわせです。なぜここに、カヲルちゃんがいないんだろう? でもカヲルちゃんがいてくれていたら、第二姫を迎えることはなかった? 考え始めるとキリがないです。

冷静になって、再び王子の話をします。王子は「この世に存在するすべての生き物の中で最高にかっこいい男」。王子が死んでしまったら、宇宙レベルの損失であると、真剣に思っています。
王子。王子。本当にどこから見ても美しいし、誰よりも何よりも、すべてがかっこいい。元気で長生きしてね。かっこいい。

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