不許可写真史表紙

「戦争で狂う」ということ ~『野獣死すべし』と ”ファッキンおじさん” ~


偶然、誤って録画されていた『野獣死すべし』という映画。

それについてサラッと書くだけのつもりだった、初めは。

だが、ある記憶が甦った。


『野獣死すべし』は1980年公開、
松田優作主演の、一部には有名な映画だ。

録画されていたのは中盤の40分だけ。
始まりも結末も分からない。
だが、何となく理解した。


主人公は元戦場カメラマンで、
数々の地獄を見てきた男。
殺人行為や戦争についての感覚、精神が狂い、
自らも殺人を犯すようになる。
銀行を襲撃して大量殺人を行う中、
彼の脳裏には戦場の記憶がフラッシュバックする…


みたいな話だ。


松田優作と、共演の鹿賀丈史室田日出男の濃すぎる存在感と演技。
「昭和の俳優は凄いよね」という、
よく見る感じの文章にしようと思っていた…。


そこで突然甦ったのは、

「ファッキンおじさん」の記憶だった。


99年、ネパール・カトマンズのタメル地区という安宿街。

ストリートに、彼はいつもいた。

毎日、同じ場所に、地べたに座って、
何やら英語で、誰かを罵っている

そして定期的に叫ぶのだ。

ファッキン・ベトナーーム!!


足が無かったか、不自由だったか、
その辺り記憶が曖昧なのだが、
彼を見て当時推測し、導いた結論…

恐らくは、ベトナム戦争の負傷兵だろう。


見た所、50代くらい。
世代的には、ドンピシャだ。

白人…

英語のイントネーションからして、アメリカ人ではないか。


彼はいつから、ここにいるのだろう?
70年代に負傷したとしても、20年以上は経っている。


彼に何があったのか?


おれの推測はどこまで的確なのか、または全く的外れなのか…


何もかも分からなかったが、
彼の苦悶の表情と、魂から絞り出されるような叫びは、
今でも鮮明にこびりついている。


何だか分からない彼の狂気は、
ただ目撃しただけのおれにも、
何らかの影響を与える程の、凄まじいものだった。


何もかも、分からない。

真実を知りたい。




ありがとうございます! (ノД`) 頂いたサポートは、いつの日かパンを、 パンが無ければお菓子を食べればよいので、 お菓子の専門学校で作り方を習う必要性、 そうなってくると学費とか交通費、 え、ちょっと待って下さい、 紙に書いて考え直そう、そうするとやはりパン、 いやペンか、ペ