2023/11/23

「私が1番ダメなんだから、当たり前だ。」

 私の自己否定はリストカットと同じだった。心に無理矢理傷をつけて、そこから血が流れるのを見て、「ああ、生きてる」と生の実感を覚えた。まだ自分は感情を失っていないと、確認する方法だった。傷ついた自分は何よりも美しくて、血まみれになった心は何よりも自分の愚を象徴していた。

 その美しさに取り憑かれた私は、自己否定をやめられなくなった。いくら辛い状況に置かれても自分を殺してしまうことができなかった私は、ただ言葉の刃で自分を刺し、傷つけて、流した涙を舐めて、自分の生に安堵し、眠ることを繰り返していた。

 他者から得られない分の承認は、それを思い切り否定することで、血まみれの余白を残す。今日も幸せになれない自傷行為を繰り返して夢をみる。どこかの世界で、誰かが傷を癒してくれている夢を。

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