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サービス付き高齢者住宅~脊髄損傷の利用者(湿度/温度)管理 エピソード2~


#湿度管理は永久気管孔のある人と同様の理由
#加湿器購入までの意識付け
#本人の意思で購入の段取りを行っていただく
#湿度管理を考えるワーカーを育てる

脊髄損傷(Cさん)の方にとって湿度の管理が必要なことエピソード1 を以下でご覧ください。


今日は、このCさんが加湿器を購入するまでの話です。
Cさんの記憶にあった、加湿器は、居室内の湿度をあげることが容易に行える、道具ではありませんでしたから、それを調達する必要がありました。
私が理想としているのは、機械の電源を入れて、水分を細かい粒子にすることが可能であり、居室内の湿度が低ければ、湿度を高めることが可能で、時には湿度を一気に高めたいのか、微量に湿度を維持したいのかの調整できるものをイメージしていました。

加湿管理までの段取り


そこで、購入手段にあたっては、
①    本人が自分に加湿器が必要だと判断する
②    加湿器の購入を本人が家族に依頼できる
③    加湿器を居室の中で使用できる

①    本人が自分に加湿器が必要だと判断する


本人に、自分の身体的症状には、加湿器が必要だという思いもなく、購入することとなれば、それは自分の健康管理を自ら実践する主体を意味しません。知識の押し売りによって、買わなくてはいけないと思うような「コンプライアンス」(支配と服従)関係でしかありません。目指すのは、今後も湿度に関心をもって、湿度が低い季節には、加湿器を使うことが必要だとCさんが判断できることです。

目標1:Cさんに「なぜ加湿器が必要なのかと言うことを説明し、理解していただく」


こと。
永久気管孔のある患者さんの話を例にとって伝えました。
永久気管孔は、皆さんが首を前に倒した時に曲がるところ、位置としては、のどぼとけの下方に約直径1cmの穴が開いていると想像してください。
つまり、永久気管孔のある患者さんの場合、空気が鼻や口を介して肺に届くのではなく、喉に空いている穴から空気が肺に届けられます。つまり、乾いた空気や冷たい空気がそのまま、肺に入り込みます。皆さんが鼻や口を介して、空気を吸う際には、湿度と保温をある程度与えて肺に届けられています。
よって、永久気管口から呼吸するということは、肺まで加湿されることなく通り抜けてしまいます。よって、冬の乾燥が激しい12月には、湿度が急速に低下し始める(外気で57%を示すと居室内は50%未満)ため、気管孔から乾燥した空気が肺に直接流入しないようにベッドの近くに加湿器を置いて、対策していることを伝えしました。

この事例のように、永久気管孔のある患者さんとCさんの共通点を言うならば、Cさんは慢性副鼻腔炎の症状が持続しているがゆえに、鼻から息を吸えず、湿度のある空気を肺に届けられないという状態です。
2点目はCさんが鼻から空気を取り込めないがゆえに、口を開けて呼吸をしているということは、永久気管孔のある患者さんと同じように、湿度が低い日は、乾燥した空気が喉を通り抜けると言うことです。しかも、入眠中の長時間、絶えず呼吸し続けています。

上記のような説明で、Cさんには加湿器の必要性を、理解していただけました。

目標2:
『加湿器の購入を本人が家族に依頼できる』

実際に購入する機種について、私がお伝えする手法は取らず、ご本人やご家族がパンフレットを見たり、小売店に行ったり、小売店でお手入れが楽なものなどを従業員に確認していただき、購入していただくようにしました。
(手入れが楽であることと同時に、湿度の管理が可能だと言うこと)
この2点を踏まえて、購入してほしいと願いをしました。

目標3:
『加湿器を居室の中で使用できる』

教室の配置と言う点に関しましては、私が勤務についていない間に、家族から届けられ、ケアワーカーがCさんの枕元のところに加湿器を準備し、沸騰型の加湿器の吹き出しを最強にしていたということがわかりました。これによって、これまで乾燥していたCさんの頭部周囲が一気に湿度が高まった結果、潤いすぎて、気道内分泌物が多量になり、分泌物の喀出が増え、一次、声がかれるというアクシデントがありました。

つまり、加湿器を設置した人は、設置時の湿度と導入後の湿度変化に関心を持っておらず、設置して任務完了と思っていたわけです。
気象庁ホームページ 2022.2.14アクセス
2022年12月日別 気圧・降水量・気温・蒸気圧・湿度

加湿器を設置してから、この冬の湿度低下時の喉の乾燥が予防できるようになり、Cさんが痰を喀出する状況は続いていても、血液が混入する状況は出現していません。

気象庁のデータをご覧いただくと、12月の日内湿度変化が激しいことがお判りいただけると思います。外気以上に居室内の湿度は、密閉されて空間では低くなっています。現時点で、Cさん自身が、激しい喉の渇きを感じることなく、この冬を過ごしていると評価をしています。今後も、自分自身の喉と肺を守る一つの手法の、①湿度に関心を持ち加湿器の必要性を理解し、②他者に加湿器の管理を依頼できるとともに、③健康を管理し続けることができる事を願いつつ、評価していきます。
ヘルスプロモーションの視点をCさんが維持できるように、介入を続けてまいります。


2023.2.14(火)
MILK


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