転倒のリスク回避~状況把握と原因追及から対策~
#何度も転倒する #尾てい骨が痛いと訴える #何をしている時に起きているのだろうか #ローテーブルでお茶を準備している #中腰から立ち上がり動作ができない
歳を重ね筋力の低下が起きると、歩くことや階段を上ること、膝を上げることが若い頃のようにはできず、過信すると転ぶ結果になる。
とある高齢者の転倒の申し送りを受けたことがあるので、状況把握について説明してみたいと思う。
【転倒を繰り返している申し送り】
~状況把握から開始~
2週間前、Aさんが転倒したと本人が言っていると言う申し送りを聞いたことがあった。
そして昨日、再びAさんがお部屋で転倒したと言うことを聞いた。
年齢的なことを考えれば、筋力が低下しており高齢者が転倒すると言う事は珍しいことではない。だが、Aさんが「痛い」と言う、体を確認しても、腫れや内出血あるいは、衝撃による組織の損傷を表す赤みも、皮膚には出現していない。
「転倒?」つまずいて、激しい衝撃を受けて転んだわけではないらしい。
不幸中の幸いだと思った。
【認知力は低下しているけれど、Aさんに語ってもらう】
~Aさんの説明~
Aさん自身に、お尻を痛めたのはどのような状況なのかを聞いてみることにした。
認知力の低下があり、本人の語りが全て正しいかどうかはわからないにせよ、お尻を痛めたと本人が言っていることを考えれば、ある程度状況を説明してもらえると思った。
Aさんは、私の質問に対して
①「あそこにテーブル(ローテーブル)があるでしょう。テーブルの上に置いてあるポットでお茶を入れようと思ってたのよ。」
(居室の壁にローテーブルを寄せて、電気ポットやお茶、急須が乗せられている。)
②「あのテーブル低いから、中腰になっていつもお茶を入れるようにしているのよ。」
③「お茶を湯のみに入れたので、立ち上がろうとした時に尻もちをついたのよ。」
Aさんは自分のベッドの頭部を挙上し、見下ろすようにローテーブルのほうを眺めて、①から③のように語った。
【状況把握から見えたもの】
~尻もちをついたのは膝の弱さと、ローテーブルが置いてあるから~
つまり、何かにつまずいて転倒したとか、転んだとかと言うわけではなく、お茶飲むために、自分で急須にお湯を注ぎ湯吞茶碗に入れ終わった時点で、しゃがみこんでいた体制から、膝に力が入らず後に倒れ込みお尻をついた状況が把握できた。
2週間前も同じように転倒をしたと言うよりは尻餅をついたと言うことが言えると思う。大事には至らず大きな怪我や骨折することなく生活していると言う事は不幸中の幸いだが、そもそもなぜ尻餅をつくのかと言う原因追求をしていかないと何度も同じことを繰り返すと言う結果になる。
1つの出来事を、ただ単に、Aさんが「また転んだといっている。」
と、伝えあうことを繰り返すのでは、医療従事者の介入する「安全管理」がなされているとは言えない。
①なぜ起きたのだろうか。
②どのような状況がしりもちにつながるのか。
③同じことを起こさないために対策は立てられるのか。
を考えなければならないと思う。
【対策と介入】
~家族の協力~
Aさん自身が、現状のテーブルから、立ち姿勢でお茶を入れる安定したテーブルを購入、居室に搬入することは、家具購入のために下見に行き、注文手続きをすることは、到底に困難だ。
医療従事者あるいは、責任者が、家族に連絡を入れ、これまでの尻餅の回数や、その状況を伝え、危険回避の必要性として対策を実行してもらえるように関わることが必要不可欠であると思った。
原因追及と状況把握、対策の立案。そのコストの負担など、段取り良く誰に協力をお願いするのかなど、一つの出来事を追求していかない限り、問題解決には至らない事例として紹介した。
2022.4.26(火)
MILK
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