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ワインと音楽と自然人。

『ワインと暮らす日々』

ブルガリアでの暮らしはワインと共にある、と言っても言い過ぎではないくらい、ワインは身近な存在です。

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ブルガリアはワイン発祥の地でもあるんですよね。4000年前にトラキア地方でワイン醸造が始まったのが起源だそうです。私が住んでいるプロブディフがまさにそのトラキア地方にあたります。今でもワインの神様に見守られてる場所なのかもしれないですね。

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トラキア地方の町並み

田舎の家に行くと、必ずお庭にはブドウの棚があって、ワインやラキア(蒸留酒)を手作りしている家庭が多くあります。ワイナリーの数も年々増加していて、今では300近くもあるとか!

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お義父さんのお家の葡萄

私たちもお友達のザハリと一緒にSTEMAワイナリーを経営しています。ミュージシャン兼ワイナリー経営者がブルガリアにはたくさんいます。

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チームSTEMAのみんな

毎年10月に入ると、その年のフレッシュワインが続々と出来上がっていきます。人々の会話も、『今年の〇〇さんのワインは出来が良いらしいよ!』といった感じで、ワイン情報が盛んに会話の中に飛び交うようになります。そして、そこで得た情報を元に、その〇〇さんの家に直接自家製ワインを買いに行ったり、ひとづてに購入したりします。

友人の多くもワインを作っているので、彼らから買ったりもらったりすることもあります。そんなことで私たちは、フレッシュワインは基本的にお店では買いません。全て人を通じて買ったりもらったりします。

フレッシュワインは、5リットル、10リットル、の大きなペットボトルに詰められていて、この季節になると、我が家のテラス、廊下には、大きなワインのペットボトルがずらりと並ぶことになります。常時20リットル近くのワインがあり、いろんなワインが我が家に集まってきます。

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フレッシュワインを購入中。

フレッシュワインというと、多くの人があまり馴染みがないかもしれませんが、ブルガリアではワインと言えばフレッシュワインというくらい、好んで飲まれているものなんですよね。

何年ものと言われるような熟成して美味しくなるワインもありますが、それらは長期間、樽の中で発酵させ、熟成させたワインで、製造工程が異なるんですよね。

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熟成中のワイン

一方フレッシュワインは、まだまだ発酵途中の若いワインです。ボトルに詰める段階で発酵を完了させるのですが、その手前のまだ菌が生きているワインです。微炭酸があって、葡萄の甘みも残っていて、ぶどうジュースのような飲みやすさがあります。その一方で、発酵途中ということもあって、酔っ払いやすくもあり、飲み過ぎ注意なワインです。

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ワインと人々。

毎年この時期になると、「ヤングワインフェスティバル」という、出来立てのワインが一堂に集まる催しが行われます。その場所で、その時期にしか飲めない、今だけのワインをブルガリア人は楽しんでいます。

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当たり前のようにワインがある暮らしは、同時に、当たり前のように音楽がある暮らしとも言えます。

フレッシュワインを持ち寄って人が集うと、そこに欠かせないのは音楽です。人々が集まると、いつも驚くことは、そのへんの普通のおじさんが達者に楽器を演奏し始めることです。趣味だとかアマチュアだとかプロだとか、そんなことは関係なく、みんなが楽しんで演奏したり歌ったりするんですよね。

ブルガリア人はみんな歌う。そして、みんな踊る。
歌えない人も踊れない人もいない。
恥ずかしがり屋で無口な人でも、とにかく歌うし踊る。

人が自然体であるということの究極の定義は、自然に歌ったり踊ったりできることなんじゃないかな、と思えてきます。

自然体なブルガリア人に囲まれて、美味しいワインを味わいながら、音楽を楽しむ。一度この陽気で平和な空気に包まれると、堅苦しく、気難しく音楽をやってるのがバカらしくなっちゃいます。笑 それくらい気楽でいいんですよね。

世界中のオーケストラや歌劇場でたくさんのブルガリア人音楽家が活躍している理由は、この自然体にあるのかもしれないですね!

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真剣に今年のSTEMAワインの出来をチェックするイリヤン。

気楽に音楽しましょうね!

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