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SAULTについて、22年の作品レヴュー
音楽を長年聴いていると、いつの時代もメインストリームではないが、既存の音楽の枠組みを押し広げ刺激的な音を届けてくれるアーチスト、プロデューサーが登場します。少し前なら4HERO やMAW、マッシブアタック
、ソウルクエリアンズなど。そんな系譜を引き継ぐ一押しのミュージシャン達がSaultです。中心となるのは数々のプロデュースで傑作を連発するDean "Inflo 1st" Josiah、Cleo Sol名義で活動するCleaopa Nikolicと、シカゴ拠点に活動していたKid Sister の3人と言われています。
21年の素晴らしい作品の数々から22年も期待していましたが、期待を上回る作品をドロップしました。4月に出た新作の予想外の音にまずビックリ。その後、EPを挟んで11月に一気に5作品発表されてさらにビックリ。しかも、それぞれがコンセプチャルで違った仕上がり、刺激的な内容で、現在最も自由で挑戦的なアーチストであるとことは確か。
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「Air」
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4月に発表された「Air」は、これまでのサウンドとは一変、リズムのないオーケストラや弦楽器と人間の歌声で形作られた壮大な叙事詩のようなインストゥルメンタル中心の作品。オペラのようでもあり映画音楽のような作品で、正直面食らってしまいました。
「Angel」
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10月にはEPを発表、10分にわたる組曲、前半はヘヴィなレゲエ、中盤がピアノ伴奏のみによるスローへ、最後はフォーキーなメロウナンバーへ。
11月に発表された5作品は以下の通り
「Aiir」
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前出のAir の続編的な内容、神による天地創造をイメージしたような壮大な物語。もはやブラックミュージックやビートミュージックの概念ははるか遠いものの、最終曲の祈りに近い歌声に心が洗われます。決してイージーリスリングにならない崇高な音の波に大音量で浸ってみると様々なイメージが湧き上がってきます。
「Earth」
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タイトルのとおりアフリカの大地をイメージするサウンド。全編に渡りアフリカンドラムによるトライバルなビートが鳴り響き、そこに力強い歌声のゴスペルハーモニーが渾然一体となって、Sault独自のアフロルーツミュージックという印象の作品。打ち込みとPCで直ぐに音楽が作れてしまう現代において、リズムと歌声が際立つ音作りが非常に生々しい。
「Today & Tomorrow」
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彼らのポストパンク、ロック的側面をフューチャーした作品。ミニマムなドラムとベースのビートにノイジーなギターが絡む楽曲は荒削りで、ガレージバンドがジャムを即効で一発録りしたかのよう。この振り幅は好みの分かれるところでしょう。
「11」
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ソウルフルでファンキーな一面をミニマルでシンプルなバンドサウンドで表現したアルバム。派手さはないが暖かみのある手触りのトラックが心地よい。アコースティックでメロウなナンバーもあり、聴きやすい1枚。
「Untitled (God)」
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これまでにも発表してきたSaultサウンドの集大成的な作品。アルバムに収められた21曲は、ロータリーコネクションを彷彿とさせる壮大な楽曲に、刺激的なビート作品、フォーキーなサウンド、ボッサ、メロウでオーガニックなナンバー、ジャージーなゴスペルまで様々な黒人音楽のエッセンスがカレイドスコープのように繰り広げられる。メッセージは一貫して神への信仰を題材にしているようで、これはインフローにとってのゴスペルアルバムかもしれない。傑作です。
23年も引き続きInfroとSaultから目が離せません。
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