第44話 金は半導体、自動車、電子機器、医療機器に使われる(導電性と耐腐食性)

まずは導電性についての説明です。

金属の導電性

金属の導電性は、電気伝導率という指標で表されます。電気伝導率は、金属がどれだけ電気を通しやすいかを示す値です。電気伝導率が高いほど、導電性が高いということになります。

以下に、代表的な金属の電気伝導率と導電性の比較表を示します。

金属電気伝導率 (IACS%)導電性銀106.1非常に高い銅58.5高い金45.5高いアルミニウム37.7中程度亜鉛29.8中程度鉄17.2中程度ニッケル20.2中程度ステンレス鋼1.4低い


電気伝導率の比較

上記の表から、銀が最も高い電気伝導率を持ち、銅、金と続きます。アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケルは中程度の電気伝導率を持ち、ステンレス鋼は低い電気伝導率を持っています。

導電性の高い金属の用途

導電性の高い金属は、電気配線、電子機器、通信機器など、電気を通す必要がある様々な用途で使用されています。

  • 銀: 銀は電気伝導率が最も高いため、電気接点や高周波ケーブルなど、高い導電性が要求される用途に使用されています。

  • 銅: 銅は銀に次いで電気伝導率が高く、加工性やコストのバランスも良いことから、電気配線や電子機器など幅広い用途に使用されています。

  • 金: 金は電気伝導率が高く、耐腐食性にも優れているため、コネクタや基板など、信頼性の高い導電性が要求される用途に使用されています。

導電性の低い金属の用途

導電性の低い金属は、電気を通す必要のない用途で使用されています。

  • ステンレス鋼: ステンレス鋼は耐食性に優れているため、建築材料や厨房機器など、腐食が懸念される用途に使用されています。

  • 鉄: 鉄は強度が高いため、建築材料や機械部品など、強度が要求される用途に使用されています。


金は、その優れた特性から、製造業の様々な分野で幅広く使用されています。以下に、金が製造業でどのように使われているのか、具体的な例を挙げて説明します。

1. 電子機器

  • 電気接点: 金は優れた導電性と耐食性を持ち、電気接点に最適な材料です。コネクタ、スイッチ、リレーなどの部品に使用されています。

  • プリント基板: 金は導電性と耐熱性に優れているため、プリント基板の配線や端子に使用されています。

  • 半導体: 金はワイヤボンディングやパッケージングに使用されます。

2. 自動車

  • 電気系統: 金はコネクタ、スイッチ、ヒューズなどの電気部品に使用されています。

  • エンジン部品: 金は耐熱性と耐摩擦性に優れているため、エンジン内の高温・高圧環境で使用される部品に使用されています。

  • 装飾: 高級車のエンブレムや内装に使用されています。

3. 医療機器

  • 歯科材料: 金は生体適合性に優れ、虫歯治療や入れ歯に使用されています。

  • 医療機器の部品: 金は耐腐食性と耐熱性に優れているため、医療機器の内部部品に使用されています。

  • 放射線遮蔽: 金は放射線を遮蔽する効果があるため、放射線治療装置に使用されています。

4. その他

  • 装飾品: 金は美しい光沢と耐久性を持つため、ジュエリーやアクセサリーに使用されています。

  • 工業用メッキ: 金は他の金属にメッキすることで、耐食性や導電性を向上させることができます。

  • 投資: 金は価値が安定している貴金属として、投資対象として人気があります。

このように、金は様々な用途で製造業に使用されています。金は希少価値の高い金属ですが、その優れた特性は多くの分野で不可欠なものとなっています。





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