病院の待ち時間が長くなる理由は、本当の順番がわからないから
先日に病院に行こうと思いました。ただし行けるタイミングが夕方になってしまい時間ギリギリになんとか間に合って受付しました。
病院で受付番号の紙を受け取り、順番を確認してみるとけっこう待っている人がいそうです。別件があって2時間後には病院を出たいなと思っていて、微妙な待ち番号でしたが、大体いつもの進み具合からまぁ行けるだろうと思って病院内で待っていたところ、この日は全然順番が進まない・・・
この日は想定よりも診察に時間がかかっており、別件に間に合う時間内に診察してもらえる状況ではなかったので、残念ながらキャンセルして後日受診し直しました。
なぜ病院の順番は想定通りに進まないのか、この「待ち時間」について今回は分析して構造化してみました。
Podcastでも今回のnoteの記事で図解したプロセス構造を見ながら会話しています。
なぜ病院の待ち時間は長くなるのか?
今回は普通の病院受付して診察できなかった問題点を明らかにしたいので、いきなりモデリングしました。
この病院の受付プロセスは、図の上半分にあたる病院側が管理する領域と下半分にあたる患者側に見える領域に分かれています。
待ち時間が長くなる原因はどこにあるのか?
モデリングしたプロセスの問題点を分析する手順はこの2つです。
まず注目する構成要素をですが、これは患者側の待ち番号と病院側の予約リストです。
次にプロセスを左に遡ってみると、根本原因がオンライン予約依頼と直接予約依頼がでてきますが、これは予約をしているから当然ですね。これ以外の要素であるのが病院側の受付ポリシーと受付ルールです。
そして今回の病院受付プロセスを分析すると、病院の待ち時間を作り出す根本原因は病院側の受付ポリシーです。
遅れの原因がどういった影響を与えているのか?
このプロセスが表していることは「病院側しか本当の待ち順番がわからない」ということです。なぜなら患者側に表示される待ち順番はあくまでも目安だからです。順番がいきなり進んだり、なかなか進まなかったりすることはよくありますが、それはキャンセルがあったり、割り込みがあったり、診察時間が長くなったからかもしれません。
この病院側の事情は患者側に一切開示されないため、どれくらい待てばよいかの見通しが立たないのです。だから想定よりも遅くなったり速くなったりします。
意図的に真の情報が隠れている
このプロセス分析でもう1つ大事なポイントは点線の構成要素がないことです。点線は実体がない属人化されてしまう要素のため、人によって対応がまちまちになりプロセス上で問題を引き起こす事が多いポイントですが、今回は一切ありません。
これはどういうことかというと「病院側は意図的に本当の情報を見せないようにしている」ということです。
すべてのプロセスは実体要素なので誰でも同じ情報を確認できます。ということは、受付ルールとして意図的に待ち時間を分けているということです。
なぜこんなことをしているのかは多くの人が想像できると思いますが、病院の内部を明らかにすれば患者側の順番をコントロールできないからです。もし真の順番がわかった上で、緊急度が高い患者さんを割り込ませたときにクレームを言う人が出てこないとも限りません。
病院からすれば、本当の順番を見せた場合の業務に支障をきたす悪影響が想定できるからこそ、意図的に病院は本当の順番を病院側でのみ管理しています。
想定外の待ち時間をゼロにすることは可能か?
今回のように問題点が明らかでも解決が難しいケースは数多くあります。今回のその1例でした。
この課題を解決するには、本当の順番を共有しても病院側に不利益が起きないと確認できた時のみです。中には患者側からのクレームを覚悟して開示する病院もあるかもしれませんが、そんな病院は多くないでしょう。
そのため現実的には、問題の完全解決というよりは部分的に改善することになります。改善策であればいくつかの解決策を実施することは可能です。
例えば下記のようなアイデアも考えられます。
待ち時間の予測情報を公開する
待ち時間が苦にならないスペースを用意する
リアルタイム性を高めて、病院で待つ時間を最短にする
アルゴリズムやAIなど人以外の存在が、割り込みなどの調整も行う
会員制にする(情報公開しても問題ない患者しか受け付けない)
ただ、これらのアイデアも一部の患者が対応できない、追加コストがかかるなどトレードオフがありますので簡単に導入できるものではありません。個人的には受付時点でどれくらい待つことになりそうかがわかると、その後の予定が立てやすくなるので嬉しいですが・・・
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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