月はきみのもの
はじめに
ジンさんへの気持ちを順序立てて言葉にできないので、いそいそ詩にしました。
●月
わたしは月の裏側を見たことはありませんが、月がきれいなことを知っています。いつも同じ面だけ見せてくれる月が、明るい光だけ見せてくれる月が、真の意味で美しいことをわたしは知っています。
だから、月の裏側を知らなくたって、いいのです。
月の裏側を知らなくても、わたしは月を、美しいと言いたい。
●海辺
寒くなったら、おいで。
だから一人で思う存分、歩いておいで。
●そばにいるより
そばにいる。
寝返りをうって感じる吐息、手を離した時にかすかに残るぬくさ、
そんなもの持っていない。
町に流れるあなたの声、だれかの鞄についたあなたの愛おしい子。ゆれる花、くじら、きらめく宝石、リボン、つやつやした林檎、暗闇に沈む海、まどろみを剥がしていく朝の光、あ、月。
きれいだな。
そばにいるより、そばにいる。
そばにいるよりも、ずっと、わたしのそばに。
●理由
誰かを傷つけない理由は、あなた。
すり傷に絆創膏をはる理由は、あなた。
わたしの理由があなたなように、あなたの理由になってくれる人が、あなたの手の届く場所にいるといい
●Yours
「あなたにとってわたしもそうでありたい」ではなく、あなたが、暗闇の中で呼ぶ名前があればいい。夢の中で会うたびに泣いてしまうような相手がいればいい。わたしにとってあなたがそうであるように、芯から心揺さぶられる人がいたらいい。それは、本当に幸せなことだから。そう思っていたから、嬉しかった。
●いつか
あなたがわたしにくれたものを、わたしもだれかにあげたい。あなたに手渡しで返せないわたしだから、いつか「わたしの大切な人がくれたんだ」と言いながら、だれかにそっと、手渡したい。
●地球
わたしが本当に美しいこと、もう知ってるよ
あなたが教えてくれたから
●ぎゅっと
大切なものをぎゅっと抱きしめるあなたを、もっと大きく春の陽射しのようなあたたかさで抱きしめたい
大切なあなたが
大切なものをちゃんと大切にできるように
●あなたのもの
あなたの歌は、あなたのものだ。
あなたの言葉は、あなたのものだ。
あなたの身体は、あなたのものだ。
あなただけのものだ。
あなたがどんなに好きでも、わたしのものにはしたくないのだ。
あなたがどんなに好きでも、あなたのものになれないわたしだから。
一つになれないわたしたちだから。
そのまま、あなたの幸せをわたしの幸せにしたいのだ。
おしまい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?