思い出してたんだ。

ひどく酔っ払った。真人間のフリをして生き始めてから早数年。時たま、泥酔した時にだけ学生時代のサイアクな自分が顔を出したりする。

“バンドマン”として過ごす最後の日だった。泣くかな?と思ったけど意外と大丈夫だった。昔ながらの友達(多分最大で14年くらい)から、本当にここ数ヶ月で出会った人まで。いやー、面白い日々だった。最高の日々だった。俺らは美しかったよ。

本当なら俺の立場がもっともっと、例えば石油王みたいに余裕があるならばなんでもできたと思うんだけど。中々そういうわけにもいかなくて。世の中にはめちゃくちゃ大企業で働きながら死ぬほどギターが上手い人とかがいたり、ありえないくらいの優しさを持っている人がいたり、つくづく敵わねぇな〜と思うんだ。
もしも俺が『超高学歴クソギター上手コミュ強大富豪』とかだったらなんでもできるんだろうな。今更どうしようもないんだけど。

隣にいる人に勝ちたいとか。隣にいる人と一緒に歩みたいとか。大それたことは言えないので、俺はただ目の前にあるものを一つ一つこなして、それがいつか積み重ねて大きなモノになって欲しいと、今はそう思うんだ。

夢に出てきたんだよ。嫌な夢だった。翌日の一日に響くような、悪い、悪い夢だった。幸せがどうとか、強さがどうとか、よく分からないなりにやってきたもりだったんだけど。上手くいくことばかりじゃなくてさ。明日の朝起きて思い出してひどく後悔するような記憶だとしても。なんとかなるかもしれないと誤魔化し、誤魔化しながら朝焼けを待っている。

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