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江戸のくずし字講座をオンラインで開催する

コロナウイルスの蔓延を防ぐため、4月から7月までの春の講座を中止にした。熱心に通われている受講生の方々には、学ぶ機会を奪うことになるのだが、一部の講師の先生から、遠隔授業をやりましょうと、声が上がった。

オンラインで双方向参加のセミナである。まずは、受講生の中で、インターネット接続環境と、カメラ付きPC、タブレット、スマートフォンも可ということで参加者を募る。

うれしいことに参加してくださる方がいて、さっそく来週、実施できることになった。江戸のくずし字講座を開いて、16年になるが、こんな授業を提供するなんて、今年の初めまで考えてもつかなかった。

講師の先生は、すでに大学の授業をオンラインで始められている。こんな状況では、大勢の学生を教室に集めての授業は、困難だろうと思う。

資料やテキストを準備していて、ふと、次のことに気づいた。
1. オンライン授業は、これまで、人形町に足を運ぶことのできない人にも参加の機会を与える
2. 地域を問わない。沖縄から、北海道まで、インターネット接続のある環境ならば参加できる
3. 時間帯にもよるが、北米や欧州からの参加も可能

授業は生ものなので、アーカイブしてあとから見るというよりは、参加して楽しい時間を過ごすことに意味がある。双方向のインタラクトというのに、いままで気がつかなかった。こんなコロナウイルス騒ぎがなければ、こんなに早く実現しなかっただろう。

江戸のくずし字という、一見マニアックな講座は、実は、江戸を知る、日本の歴史に学ぶという大切な要素がある。平安時代の書籍は点数も少ないし、ほぼ活字化されている。それに比べて、江戸の書物は、活字化されているのが、2割程度。残り8割は、くずし字を自ら読み解くしかないのだ。わずか150年足らず昔の言葉なのに、現代のわれわれは、まず読めない。でも読み中の基本ルールさえわかれば、半年くらいで、浮世絵に描かれている文字が読めるようになる。

わたしは、熱海のMOA美術館で、俵屋宗達の手紙の展示をみて、かなり読めてうれしかった。近くにいたご夫婦を手招きして、こういう意味なんですよ、と解説しようとする心を抑えるのに、大変だった。それくらい心地よいことなのだ。江戸の知恵がダイレクトに、わかると今の時代をどう生きたらよいのかという、答えも見つかるような気がする。
http://www.madio.jp/index.html

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