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東京とラジオと私

昨年9月にGROOVE LINEが終わって、3月にたまむすびが終わった。

東京に出てきてすぐ知ったラジオ番組がGROOVE LINEだった。最初の印象はふざけてるけどなんかおしゃれでテンポが良くて、東京ってこんな感じなんだーって思った。デザインの仕事をするようになり、会社でも作業をしながらJ-WAVEを聴いていたのでGROOVE LINEが始まると、今日もここまできたぞとテンションが1段階切り替わるのが好きだった。デザイナーという職業は夕方以降がむしろ本番みたいな部分も当時はあったので、そろそろ今日一番やりたい(やるべき)作業に取りかかれるという時間帯だった。
たまむすびはお昼の時間帯だったので、最初の頃はタイムフリーで聴くことが多かったと思う。それから自粛期間や在宅勤務をするようになって、家に一人でいるときはTBSラジオを聴くことが多くなったな。日常のくだらない話題やためになる面白い情報が、自宅にいながら私と世間を繋げてくれた。

東京に出てくる前まではラジオを聞く習慣はそんなになかったと思う。
いや、高校生くらいの時なんかに流行りの音楽チャートを録音して、歌詞の文字起こしをしていたか。夏休みにはオールナイトニッポンとかを布団の中で聞いたり。あと、確か日曜の夕方にやっていた筧利夫のスタンドバイミーが聞こえてくるという番組が結構好きで毎週聴いていたな・・・今思うと割と聞いている方だったかもしれない。
実家の部屋の窓からはずっと先の方まで畑が見えて、その少し先には山があって、山の向こうに沈む夕日を眺めるのが日課だった。部活もバイトもしていない暇な高校生だった。だけど、そういう風景を眺めながらラジオを聴くのがこの上なく好きだったし、新しく出会う音楽や都会の空気感に触れることができる豊かな時間だった。

ラジオの良いところは、発信する側と受け取る側という切り離された一方的なメディアではなく、リスナーが参加することで番組が作り上げられるという点だ。流行りの音楽からお悩み相談まで、色々な話題をラジオを通してみんなと共有できる、友達のような存在でもある。耳を傾けていたかと思えばいつの間にか自分の作業に集中して音が消えている。よし休憩となってコーヒーでも飲もうとするとたちまち音が聞こえてくる。いつだって丁度良い距離感で接してくれる。

東京に住むようになってからの日常を支えてくれた大好きなラジオ番組が終わってしまい正直とても寂しい。そんなタイミングで転職することになった。12年勤めた会社を退職して新しい会社で働くことになる。何かが終わるとまた新しい何かが始まる。自分で決めたことなのに、ふとした瞬間寂しさと不安が押し寄せてくる。でも私は未来へ進むことにしたのだ。そうすることが今ある選択肢の中で一番いいような気がした。

大好きだったラジオ番組に想いを寄せながら、そんなことを考える今日この頃。




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