ニートのススメ

4月からニートを生活を謳歌していた。

正直めちゃくちゃ幸せだった。

言い方は悪いかもしれないけれど、世間から引きこもることが正義とされていたし、いつもより少しだけ生きやすかった。

アラームをかけずに昼過ぎまで寝て、好きな時にごはんを食べて、気が向いたら近所の公園をおさんぽしてみたりなんかして。

1日に何本も映画をみて、ラジオを流しながらぼーっと過ごすだけの日もあって、こんな生活が許されるのならもう何もいらない!と思ってしまうほど心地よかった。


はじめはなんとなく気にしていた「どうして働かないの?引きこもって何してるの?」などの周りの声も次第に気にならなくなってきて、ただただ自分のために時間が使えるこの生活がたまらなく好きになってしまった。

もちろん、働かなくても何不自由なく生活させてくれている母には感謝してもしきれないし、この生活を続けることはできないこともわかっていたので職は探していたんだけどね。


学生の時に就職活動をしたことがなかったし、バイトも高校生の時にやっていたコンビニと、大学生の時にやっていた飲食店の2つしか経験がなくて、本当に世間知らずの右も左も分からない状態のまま新しい生活がスタートしてしまう。

全くの未経験の世界に飛び込む恐怖と、はじめましてよろしくお願いしますの嵐に耐えられるのかという不安。これが起きてしまうのであまりニートというのは良くないのかもしれない。


ニートになるのは簡単だけど、ニートを脱するのは難しい。

当たり前のことなのに、当事者になってみるとすごく重く感じてしまう。


でも、窮屈に感じていた生活から少し距離をおいて自分のために過ごす時間を過ごしたことは、自分にとってはすごく良い決断だった。

社会経験があるわけではないので偉そうに言えないけれど、もしかしたら仕事はいつでも見つかるのかもしれないし、少しくらい立ち止まって当てもなく生きてみるのは良いことなのかもしれない。

恵まれた環境にいて、プライドがない自分だから出来たことなのかもしれないけれど。


わたしのこの幸せすぎる生活は一旦幕を閉じてしまう。

今も天気の良い昼間なのに缶チューハイを飲みながら、のんびりとした音楽を垂れ流してこれを書いている。愉快だ。ずっとこのままでいたいな。



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