幻聴

物心ついた頃から、知らない音楽が流れていた。クラッシックぽい曲。

『覚えていられたら、作曲できるのになぁ』

との程度にしか考えていなかった。それは当たり前のことで、皆にも聴こえているものだと思っていたので、特に誰にも言わずに過ごしてきた。

離婚を機に精神状態が悪化。幻覚も見えるようになり、幻聴は綺麗な曲ではなく、うるさい音に変わった。不眠、拒食、頭痛…等、様々な不快な体験をした。

2軒目に受診した精神科で、初めて幻聴にと知る。

『それは、普通ではありませんから』

少しだけ、驚いた。当時、あまりにも回りが変化したものだから、あまり『驚く』ということがなくなった。良くも悪くも。

感情を閉ざしたのだと思う。そうしなければ、自分が崩壊してしまう。だからか、当時の出来事は全く覚えていない出来事もある。

当時程ではないけれど、最近幻聴が煩わしくなってきた。幻聴とは長い付き合いなので、不快感がなければ特にドクターには報告をしない。幻聴から解放された時がないのだから。

音楽に合わせ、不快な音が加わるようになり、気をとられ、苛つく。落ち込む。やる気が出ない。

対策としては、許す限り音楽を流している。音楽を聴いていれば、幻聴は特に気にならないで済む。寝る時さえ、音楽を流しながら眠る。

前回の診察で、幻聴のことをドクターに報告し、お薬を調整してもらった。だけど治まらず、しんどくなってきたので、その旨ドクターにメッセージを送った。

『早めに受診してください』

次の休みに予約を入れた。

『仕事に行ったの?辛かったでしょう』

ドクターの言葉は特効薬かもしれない。あたしは聞かれたこと以外はほぼ話さないので、自分の幻聴の経緯を説明した。薬を調整してくれた。次のようまで2週間。効いてくれると良い。とにかく、静かにして欲しい。

まるで頭の中に悪戯な小人が居るようだ…と、こんなことを言っている時点で、分裂証なのだ。頭がおかしいのである。

ただ、精神的病気の知識は最低限吸収しないようにしている。まぁ、書いてあることは大体同じようなもので、そんなことには振り回されたくはない。

あたしはクローズで健常者と一緒に働いている。ただ病院の予約日は休まなくてはならないので、不眠症ということで、精神科に通っている…と話している。

だから、どんなに鬱が酷くても身体が動かなくても行きたくない日があっても、出勤するようにしている。それは自分の自信にも繋がる。ただ、職場に理解者がいないのは、自分が我慢するしかない訳で、これがしんどい。

ならば?障害者枠で働けば良い?…2回ほど、働いたことがある。ハローワークに通い、やりたい仕事を見付け、面接の日取りを決める。何社受けたか、精神障害は差別される。同じ障害者枠でも、歓迎されるのは身体の方だ。

障害者枠で採用され、働く。まぁ、簡単な仕事しか与えてもらえない。仕事をする意欲はあるが、障害者だから鬱を理由に急遽欠勤もできる。まぁ、健常者とは違う扱いになるわけだ。

そしてあたしはクローズで健常者と一緒に働く道を選んだ。

最近、職場で嫌な思いをした。プライベートでもほぼほぼ怒ったりはしないのに、その時だけは頭にきてしまった。

幻聴が酷くなったのは、その日が境になっている?職場で、幻聴がうるさいので休みます…なんて言っても誰も理解できいし、好印象にはならない。

あたしは負けない!って決めたから、乗り越える。
春鬱も黙ってやり過ごした。あぁ、薬が効いてきますように!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?