魂の抜け殻 第14章

 寂しい?


僕が小学生の頃、父に聞いた。「お父さんは一人で暮らして寂しく無いの?」僕の予想に反した答えが返ってきた。「寂しく無いよ」その答えが僕には寂しく感じた。

「いつでも会えるから寂しく無いよ」と。父は一人が好きなのだ。一人になりたかったから家を出たのだ。僕達が嫌だとか、そうじゃなくてただ一人になりたかったのだと思った。僕は父がいなかった事よりも、その答えが無性に寂しかったのだ。僕はまだ“孤独”と言うものを知らなかった。


#小説



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