視界


人間の視界は左右で200度、上下で130度の範囲で見ることができる。

だが僕は正直、この角度で満足していない。

小学4年生の時に休み時間のドッジボール中に当時好きだった同級生の女の子が雲梯をしてるのに見入ってる間に死角からボールを投げられてアウトになって泣いた時以来、僕は目玉を限界まで端っこに持って行って視界を広げる訓練を1日も怠ったことはない。

その成果もあって24歳になった今では左右は300度、上下は200度ほどの視界を誇れるようになった。

ここまで広がると危険察知能力が以前とは段違いに上がり、死角から訪れる危険というものはほとんど無くなった。

しかし、一つ難点もあって容姿が一般の人間から少し離れてしまった。

目は以前の倍ぐらいのサイズになり顔の構造も以前より立体度を増し、着実に魚に近づいていってることが分かる。

その容姿が原因でいじられることもあったが、僕は後悔はしていない。

ここまで来れば、一層のこと完全なる視界を手に入れ、全てを見ることが出来る男になるのだ。

今からその景色が楽しみで仕方がない。

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