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運動会が苦手な息子の話 年長編

以前年中の時の運動会で
なかなかな傍若無人ぷりを発揮して、はや一年
(参照:運動会が苦手な息子の話)


あっという間に季節は過ぎ
1年が経ってまた運動会がやってきた

しかも今年はコロナ禍の為色々と制限もある
何より最高学年(年長)という
プレッシャーも付いてくる

我が子が通った保育園は昔からある保育園で
最近の園庭がなかったり屋上にあったりする保育園とは違い
贅沢な広々とした園庭がある
(近所からは丸見えだけど)
お陰で普段通りの環境で行えるというのはかなり利点である

が、しかし
幾度となく行われたリハーサルを
「やりたくありません」
の硬い自己主張の元
ボイコット、見学を繰り返していたらしく
『今日のリハーサルは見学していました。ちゃんと座ってみんなを見ていられました』
という先生の優しさと苦渋が詰まった連絡帳を毎日読んでは胸が詰まった
先生…ありがとう
褒めを捻り出してくれて…

しかしそれでも
『今日は大縄跳びにそれとなく誘うとやると言って跳びました』
『1回だけやろうと言うと、かけっこの練習に参加しました』
『今日は自分で「やりたくないので見学したい」と言えました』
『ダンスの音楽を流す音響をやってくれました』
などなど
先生と息子の壮絶なる駆け引きと少しづつ参加していく様子が連絡帳に日々綴られ
今日はどうなる?今日はどうなった??
ととてもハラハラとワクワクしながら
毎日の先生の報告を読んだ
先が気になる!続きが知りたい!次はどうなる!?
週刊少年ジャンプならぬ
日刊幼児連絡帳

そしてついに
『みんなとダンスを踊りました。衣装は嫌だと言う事で着ませんでした』
おおおおおお
衣装はこの際どうでも良い
お遊戯はおろか
手遊びも恥ずかしがって滅多にやらない息子
先生…どうやって踊らせたのか…
凄い
凄い軍師
諸葛公もびっくりである


そんなこんなで去年より参加できる?かも?
と期待をしていたのだが
運動会のリハーサルがある日は必ずと言うほど
「運動会…やだなぁ…今日行きなくないなぁ」
と息子が浮かない顔をした
あまり保育園へ行き渋ることがないのでかなり心配になった

療育の先生にも相談したら
やはり発達障害の子どもは運動会系は苦手な子が多いらしく
「本人が無理なら休ませるのも手」
という潔い回答を貰った

うーん…
どうしたものかなぁ…
と悩んでいたが
園のお友達が「息子くん、走るの早いんだよ!めっちゃ練習してた!」
などと報告してくれたり
先生からダンスの衣装を
「息子くんの好きな色でいいから選んでもらってください。当日の本人の気分でいいですよ」
と、本当は各々1色しか割り当てられない衣装を全色渡してくれるというVIP待遇をしてくれたり
なにより本人がダンスの曲を口ずさむことが増えて、なんとなく家で踊っていたりしていたので
ともかく参加してみようということになった

去年はプログラムを口頭で説明しただけだったのが
かえって本人の混乱を招いてしまったので
今回は単語帳にプログラムとその時何をするか
(例:年長かけっこ 参加する
  年少体操 座って待つ etc)
を書いて持たせた
なんとなく心が和むように猫のフワフワするシールを全ページに貼っておいた

あと
緊張した時のおまじない
と言って
以前より興味を示していた
ネイルシールを両手両足に数枚貼った
元気が出るおまじない
勇気がでるおまじない
緊張しないおまじない…
と一枚づつ呪文をかけて貼った

もうできることはなんでもやろう…という気持ち
それだけ去年が結構トラウマだったのもある
なにより待機が心配なのだ
座って待ってられるだろうか……


そして当日
先生から全色渡された衣装から
まぁまぁノリで本人が色をチョイスして
なんとか着てくれた

衣装を着て家から園まで来るようにという指示
(プログラム上)
だったので
その衣装を着て街を歩くのをものすごく嫌がった
うん…まぁそうだよね……

ということでまぁまぁ暑かった9月の日だったが
薄手のロングパーカーを羽織って登園
着いてもなかなか脱がず
「俺は寒いんだよー」と汗かきながら言う息子
親のハラハラは絶頂
なんとかパーカーを回収して並ばせた
すると衣装姿の息子を見て先生が
「衣装…着てくれたんだね…ありがとう」
と涙ぐんでいた
聞くとリハーサルでは一度も着なかったらしい
色々やり取りがあったんだろうな…
無理強いしないように
でも色々考えてくれたんだろうなぁ
と先生の涙に思いを馳せた

先生の涙を見てかどうかはわからないが
みんなも同じ衣装を着ていたこともあり
息子は少しほっとした顔をした
そして音楽が鳴ると親と先生のハラハラはどこ吹く風で
平然と踊り始めた

めちゃくちゃ隣の子をガン見していたので
振りは覚えてないらしい

しかし踊っている

あの息子が踊っている

隣の子を見様見真似なので1テンポ遅れで踊っている

私が天照大神で息子が岩穴の外で踊り出したら
自分で岩を砕いて出てくるだろう
それくらいのセンセーショナル

序盤のプログラムだったけど
泣いた
隣のお母さんに「すごいね!泣けるよね!」と言われた
隣のお母さんも泣いていた

そして堂々と帰っていった後は
なんと整列して体操していた
そして席に戻り座って待機している

待機してる姿を見ただけで泣けた
というか一番そこに感動した

なんということだ

これを成長と言わずして何と言う

勿論園側の配慮もたくさんあって
気が散らないように席は1番前だったり
競技の順番も一番最初にしてくれていた
スケジュールの単語カードを友達と読みながら
時々ネイルシールを女の子達に見せてお話ししながら待機していたので
これもなんだかんだ役に立ったのだと思う

他の競技もイキイキとやっていた
跳び箱とんだり大縄跳びやったり玉入れしたり
みんなと一緒に勝敗に一喜一憂していた

ラスト競技のリレーもトップバッターだった
息子のチームは勝ったが
負けたチームの子達が皆悔しがって大号泣したのが印象的だった
それがまた子ども達の素直さと一生懸命さがよくわかり素敵だなと思った
感動したのか主任の先生も一緒に泣いていた

そして最後に
運動会のおわりの挨拶
と言って名前を呼ばれ
何人かのお友達と一緒に
息子が前へ出てきた


おとうさん
おかあさん
みてくれてありがとう
たのしかったですか?
これで
うんどうかいを
おわります


ちゃんと言えた

たのしかったです

こちらこそありがとう


「すごくかっこよかったよ、がんばったね」
「楽しかった?」
と聞くと
「楽しかった…けど大変だったな」
と少し照れたような顔をした

「あー、今日は頑張ったから2個だな!」
と自画自賛しながら
最近ハマっているチョコボールを
スーパーで2つヒョイとカゴに入れてきた

もー…と言いながらも3個でも4個でも買ってあげたかったが
とりあえず2個にした

本当に頑張ったのだ
色々できるようになったとはいえ
それは本人が相当頑張った成果なのだ
その事はよく覚えておかなければならない

苦手なことは苦手なままで良い
参加しなくても別に構わない
という気持ちは変わってないけど
やっぱり参加できたことがとても嬉しい
矛盾してるけど
それが親ってもんかなぁ…
となんとなくしみじみ思った

なにより
お友達達と楽しそうにお話ししながら参加してたこと
学年問わずなんだか周りの子にめちゃくちゃ話しかけられていた事
「成長に感動しました」と言ってくれた先生方
「息子くん本当に色んなことが出来る様になったね」と一緒に成長を見守ってくれるママさんパパさん


急にあの言葉が思い出される

「何か持っていると言われ続けてきました。今日何を持っているか確信しました…それは仲間です」

有名な斎藤佑樹さんの言葉だ

息子…持っているな…

とにかくお疲れ様
今後も無理せずやっていこう

今日のことは
多分私の一生の宝物だ

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