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サンドイッチマン ~ 中華料理屋

「おおここか、本格中華料理『大飯屋』。新装開店割引券配ってたからな…でもあれだな…中華と言いながら、日本語で読むと…
『おおめしや』
なんか『宮本むなし』みたいな哀愁があるな…大丈夫かな…。まあはいってみよ」

「歓迎(ファンイン)」

「うわ、いきなり中国語だあ、すげえ…ファンイン、歓迎っていう意味ですよね、なんだかいきなり感激それ」

「ちなみにこんな言葉もありますよ」

「え、なになに、すごいね」

「臭你妈的(ツォウニマーデ)」

「へえ、それどういう意味なの」

「日本語でいうと、ファックユーです」

「なんだよそれ、もっと歓迎してくれよ」

「はい、では開店スペシャルメニューなんですけど…」

「うん、なにがあるのかな、楽しみだな」

「こちら当店が一番オススメの…」

「うん」

「カツの卵とじ定食になっています」

「え、定食!?なんかさ、イマイチっていうかさ…全然中華っぽくない気がするんだけど…」

「はい」

「いやね、カツの卵とじ好きだよ、好きなんだけどさ…。せっかくだからもうちょっと中華っぽいのが食いてえな、俺」

「そうしましたら、こちらの…」

「うん」

「上海風和風ハンバーグ定食などおすすめです」

「おいちょっとまてよ。和風ハンバーグ定食なんだろ、むりやり上海風って付けてねえかそれ。どんなんだよそれ」

「ええと、和風ハンバーグ定食に『上海』って文字の旗がさしてあります」

「お子様ランチかよそれ。『上海』って書けば上海って、文句ねーだろみたいになってんじゃないか。じゃあ四川料理はどうなってんだ」

「湯豆腐に『四川』って旗が立ってます」

「麻婆豆腐じゃないんだよねそれ、日本の湯豆腐…」

「はい」

「じゃあ北京は…」

「ジャージャー麺風の焼きうどんです」

「なんだよ、ここ完全に日本の居酒屋じゃねえか」

「お客さん…でも」

「なんだよ」

「焼きうどんに、毛沢東の顔写真の旗立ってますよ」

「いらねえよそんなの」

「本日はお子様もご一緒ということで」

「ああ」

「焼きうどん定食を注文されたお客様には、スペシャルプレゼントございます」

「へえ、なんだ、息子に何かくれるのか」

「ええ、こちらの戦車になります。これに毛沢東の旗を脇から載っけていただくと、見事、天安門事件となります」

「ええ!?それって蒸し返さないほうがよくね?なかったことなってんだよあれ。お前あれだろまさか…」

「なんですか」

「次に北京ダッグとか勧めるんじゃねえだろうな」

「私は一応帰国子女なもんでえ。北京ダッグじゃなくて、北京ダアアッグといいますね」


「違うと思うよそれ。ドッグ、犬はアメリカ人はダアアッグっていうけどさ、そもそも、犬じゃないし、お前中国の帰国子女ってことだろ」

「そうです」

「じゃあドッグってのも変じゃねえか」

「お客様」

「なんだ」

「この話の続きは二階のお部屋でいかがですか。個室があるんです。」

「え、いいの、特別料金とかないの?」

「大丈夫ですよ。」

「二階の個室。中国関連の密談いっぱいしましょ」

「コロナ対策で叩かれるわ!」

*ちなみにこれをお書きになっている毎日新聞の高橋惠子さんは、みこちゃんのnoteフォローしていただいております(笑)。

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