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経営に効くデジタルの活用。IT顧問の必要性│Altarnative 【会員インタビュー】

国を挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、IT人材が企業全体から重要視され、大切に扱われている組織はどのくらいあるのでしょうか。過度なITへの期待や不安から、他人任せ、IT/デジタル任せに偏ってしまう現実を無意識に作り出しているかもしれません。だれもがIT人材になる必要はありませんが、確実に受け入れ対応していくにはどうすればいいのか。ユーザー企業で働いてきた経験を活かし、2023年にIT支援を中心としたAltarnativeを立ち上げた、代表の谷藤亮子さんに伺いました。


経営と現場のギャップを埋めて、両者が喜ぶIT活用

ー主な事業内容をお聞かせください

オルタナティブは、IT顧問、システム開発、セミナー研修の3つを柱としたIT支援を行っています。特にIT顧問については、認知されていないこともあり、会社を立ち上げてからこの一年間は、出会う人に「IT顧問に初めて出会った」と言われることも多くありました。
 
IT・デジタルはだれにでも関係のある事です。ただ、ITを活用したいと思っていても、過度な期待や魔法のように悩み事が解消できると思っている方も多いと感じています。現場のお悩みを解決しつつ、しっかりと経営にインパクトを与えるITの使い方を経営者との対話で伝えることがIT顧問の大きな役割です。

ー社名の「Altarnative」(傍流)に込めた想いは?

当たり前にデジタルを活用して変化に対応している会社は強いと思います。でも、まだそういった会社ばかりではないし、いままでの経験上、良いシステム・良い仕事ができていてもなんとなく他人事で大事にされないこともありました。DX推進が大きく取り立たされていてもIT人材が大切に扱われていないのです。
 
できる人がやればいい、という考えがまさにその象徴です。以前の職場で、新しい働き方を提唱し続けたこともありました。変化を受け入れてくれる人も多くいましたが、やり切ったとはいえず心残りもあります。デジタルの活用は王道で主流だと思っている反面、まだまだ「傍流」。もっと「主流」になるべきでは?と感じた想いが込められています。

誰のために何のためにがわかるITの仕事

ーユーザー企業出身のエンジニアである?

プログラミングは専門学校で学んでいました。その後、だれが使うのかどう使われるのかもわからないようなシステムを作ったこともあり、その仕事には魅力を感じませんでした。
 
その後、開発とは関係なく、ユーザー企業でアルバイトとして働いていたのですが、伝票を手書きする作業をどうにか楽にしようと、当時、会社においてあったパソコンで伝票を印刷できるシステムをつくったことで、自分も楽になり、周りのメンバーからも感謝される経験をしました。そこから、人の役に立ち「ありがとう」と直接言ってもらえるようなシステム開発が楽しくなりました。これがITの原点となり、現在の仕事にまで繋がっています。
 
アルバイトという立ち位置ながら、情報システム部門に移動し、2000年問題を直す作業や月間で30~40本の開発にかかわったりと、普通では考えられないスピード感で働いていましたね。

ー責任ある立場でどう働いてきた?

正社員になり、責任者になることで会社からの情報量も増え、やりたいことを思いっきりできる環境になりました。情報が少なく、もどかしく思いながら仕事をしていたアルバイト時代が活き、責任者として自由に開発ができるようになったころは、チームメンバーに情報を渡すことで、その人の力とチーム力を最大に発揮できる、合理的なチーム作りをしていました。
 
また、組織上のポジションはなくても、経営会議に参加するようにして、できるだけ経営側と一緒に走っていくことでシステムを良くすることを心がけていました。そういった意味ではアルバイトと正社員で大きく変わったことはなく、自分にできることや生産性高く仕事をするにはという観点から動いていました。
 
この経験があったので、オルタナティブを立ち上げる際、経営者と深く話のできる「IT顧問」というサービスをメインにしたんです。エンジニアなので、「もっとこうしたほうがいい」と思っていても、お客様が言った通りにシステムを作って売り、改良を繰り返すこともできました。でもあえてトータルでサポートができる「IT顧問」という形に。
 
マインドも技術も伝えていけるコンサルティングにしました。ITは、人とビジネスに役立つものだと思っているのですが、作って終わり・導入して終わりでは現場も経営も変わりません。ゆえに中長期的に関わっていけるスタイルが良いと思っています。

経営者が持つITへの課題感

ーIT顧問の立場から感じる課題を教えてください。

この5年、10年と技術革新スピードが速すぎると感じています。ただ、まだまだ中小企業では業務が属人化している現実も否めません。また、他社がデジタル導入を進め、成功した事例を耳にすると「次はうちでも」と考える経営者は多いのですが、他者が成功した事例をそのまま使えることはほぼありません。そこにギャップが生まれています。
 
経営側の意図を中期計画で共有したうえで、現場のお困りごともヒアリングする、この両方を行ってデジタルへの期待と現状のギャップを埋めていく作業が必要です。やりたいことと実際のお困りごとの矛盾をITで和らげていくことがIT顧問の仕事なんです。

ーIT顧問を認知してもらう

ユーザー企業出身であることから、システム開発にはフィードバックがあることが大切だとも思っています。システムに関わる仕事はメンテナンスが大半で、開発は10%に満たないくらいで、報われないことも多いです。それでも時間を作って、組織内部のリクエストに応え、たくさんのシステムを内製化してきました。そこで直接感じられたのがシステムを使ってくれたメンバーのフィードバックです。
 
現場からのニーズに応えて開発をしていた部分と、自分から改良点を探して「こうしたらもっとみんなが喜んでくれるのでは?」という視点を常に持っていましたね。
 
加えて、従来のウォーターフォール型の開発ではなく、アジャイル開発を採用し短いスパンで開発・改良を繰り返すことで、より実用的なフィードバックを受けることができました。「ありがとう」の言葉や驚いてくれる姿が温かい報酬だったことも間違いありません。
 
外部で作られたシステムを採用すると、フィードバックができないことも難しいポイントなんです。発展しづらいし、実際の使い勝手に合わせて変更することもスピード感が持てない。加えて、生産性がUPして現場の作業時間を短縮できたとしても、空いた時間で新しいビジネスを生む経営戦略や方針がなければ、ITと経営が融合して組織が大きくなることは見込めません。
 
おもしろいことに、IT顧問として相談を受けると、「システムを作らないほうがいい」とアドバイスする機会が多いことにびっくりします。システム導入に期待してくださるのは嬉しいのですが、目指すところは経営側も現場も「やって良かった」と思えるシステム導入です。
 
システム開発・導入はゴールではなく、スタート地点です。その視点をもって伴走していますが、まずはこの考えを認知してもらうことから始めるしかありません。ITの活用が当たり前のように、経営の血肉となっている会社はやはり生き残っていけるのだと思います。

ー北海道でやり続ける意味はありますか?

実際のところ、日本のITが進んでいるかというとそうでもありません。やはりアメリカを中心とした海外発の技術を使うことになります。どんな情報も海外をベースにとっていくのなら、日本のどの地域にいたとしても大差はないと考えています。現在は北海道内の企業がメインですが、特に固執することなく仕事を広げていきたいです。

社名にも想いを込めたように、デジタルを大切にしてほしい、IT人材を大切にしてほしいという気持ちも強くあります。インターンの古野さんは「やりたい」ことを明確にもって参加してくれました。経営側に関わることは、人事や人材育成に直接関わりたいということでもあります。大きく言えば、日本のIT人材の成長・発展にも貢献していきたいです。

開発中の生成AI「RAGKO」

―現在の新しい取り組みについて教えてください

生成AIのチャットボット「RAGKO(ラグコ)」を開発中です。現在はインターン生と2人体制ですが、組織化した時に、社内の情報を簡単に共有できるチャットボットとして育てています。
RAGKOの「RAG」は、検索拡張生成機能という意味で、自社内の独自情報を教えて、社員の質問に答えられるようにしていきます。今はPoCレベルでの開発ですが、ちょっとずつ賢くなる工程を楽しんでいて、開発ではこんなこともできると外部にリリースできればと思っています。これだけをやっていくわけではないですが、お客様に必要となるシステムについては開発をしていきます。

システムは、開発して現場に行ったところがスタート地点。IT顧問としてのコンサルティングから開発、研修の3つの事業内容は三位一体です。システムは買っただけでは使えないこと、本当に会社に合っているシステムなのか?という所をしっかり一緒に考えていき、ITの活用で現場も楽になり、経営にも有効的なものだと認知を広めていきたいです。

ITは魔法ではない

ー本当の意味でビジネスに活用できるITとシステムを作るためには?

基本的には今も昔もITを取り巻く環境は変わっていないと感じています。IT人材は少し増えてきた気もしますが・・・。エンジニアやプログラマーは適性もありますが、とにかく実践で経験を積むこと、刻々と変化する状況の中で対応しやりきること、場数を踏むことが必要なんです。しかし、その経験を積める環境が少ないのです。
 
これは、システムの老朽化対策など、保守や作業の意味合いが強いものにIT人材を使ってしまうケースがいまだに多いからだと考えます。チームプレーやコミュニケーションも求められる時代になっているので、ただひたすらにPCを見つめる働き方ではなくなってきていることも難しい点ではあります。
 
以前、大手ECサイトを見て、裏の仕入れと物流システムのすごさと顧客側から見たUI/UXの設計の合理的な美しさに痺れたことがあります。顧客体験から逆算しないとあの仕組みは作れない。BtoCの視点も重要だと感じた事例でもありました。
 
現状に困っている、ITの事は誰に相談したらいいか迷ったときにはオルタナティブに声をかけてほしいと思います。
具体的なシステムの事を考えてから相談する必要はありません。むしろ、どうしたいのか理想を明確にして頂くと、具体的な提案がしやすいです。システム開発と現場のお困りごとのギャップを埋めていくのが私たちの仕事だと思っています。


インタビュー中、谷藤さんは「主流な仕事をしているはずなのに、ITは傍流扱いされることが多い」ときっぱり。IT・デジタルという言葉は世の中に溢れているが、IT活用を前提としたビジネス・経験戦略になっている企業はまだまだ少ないようだ。どんな大きな主流も小さな傍流から始まるように、IT顧問という立ち位置が認知され、ITと経営がうまく融合し変化に強い社会を作る一手をオルタナティブが担っていくのではないでしょうか。
 
取材日2024年8月6日/北海道IT推進協会 広報委員会 ライター 吉川明子

[企業プロフィール]
Alternative オルタナティブ
IT顧問からDX支援、システム開発・導入・社員のITリテラシー強化まで一気通貫で対応。貴社のビジネスの可能性を広げる。
・代表者/谷藤 亮子・設立年月/2023年
・事業内容/IT顧問、システム開発、IT人材育成
・所在地/札幌市中央区北5条西11丁目15-4 BYYARD
・URL/https://www.alt-nat.jp/


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