離さないで愛(約1000文字)
2010年8月。
高校で出会った4人の女の子たちは社会人になり、それぞれの道を歩き始めた。
そして恋も……
アジアの香りに誘われて
韓国、 台湾、 中国。レンタルショップでアジア映画を借りるようになりすっかり 魅力にはまってしまった私 。
少しでもアジアのことを知りたくて 通い始めた 北京語教室 。
中国から日本に来た中国人 ニコラス ツェーという私と2歳 しか変わらない若さの先生が自宅で こじんまり 開いている教室で出会ってしまった 彼。
「今日もおつかれ〜」
仕事が終わって職場から直接 通ってくる 私に彼は決まってそう 声をかけてくれる 。
大学院生で北京語を専攻していた彼。
最初は少人数のこの教室にもかかわらず全然話してくれなくて。
無口な人なんだと思ってた 。
でもそれはただの誤解で半年も経つと みんなの中で一番話す存在になっていた。
サラサラして少し長めの茶髪。ホワイトボードに書かれた 北京語をノートにうつす時だけかける 細めのメガネ姿に。
いつのまにか すごく好きになってた…
「ミキ 帰らないの?」
授業が終わってホワイトボードを消しながらそう 声をかけてくる先生にびっくりする私 。
「疲れてんね〜」
笑いながら横でノートや 筆記用語を片付けている 島田君が茶化す 。
「別に疲れてるわけじゃないよ。先生 誰かに似てるな〜って。でも、 誰に似てるのか 思い出せなくてさ〜。」
自分が今、隣にいる2歳も年下である 大学院生に見惚れて授業を聞いてなかったことがバレるんじゃないかって。
1人で焦りながら苦し紛れの言い訳。
「先生じゃなくて ニコラス だって!嫌だって言ってんじゃん! 先生なんて 。」
北京語教室で 北京語を教えているにもかかわらず 「ティーチャー」と呼ばれると嫌がる彼。
「誰かに似てるって 、どうせ 元カレとかじゃないの?ニコラス 、こいつに近づかない方がいいですよ!きっと 口説くつもりだから!」
「何言ってんの !違うってば !バカ !!!」
変な冗談を言っていつも私をからかう 島田君。
でもこの空間がすごく好きで 私にとっては大切だった。
「あ〜!!!」突然大声を出した私に驚きの表情で2人の視線は私に注がれた 。
「何だよ! 突然!心臓 止まったらどうすんだよ!!!」
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