離さないで愛(2000文字)

「翔君 !嵐の櫻井翔君だよ!!!先生 絶対似てるよ !」


あまりの興奮 ぶりに最初は相手にしてくれなかった 島田君も再度 ニコラス 先生の顔を見て しみじみ。


「確かに……激似だな ……」


でも、その言葉で先生の表情が曇った気がした。普通 、人気アイドルに似てるって言われたら喜びの表情を見せても先生みたいな顔をする人は少ないと思うけど…


先生があの時見せた  一瞬の表情に引っかかるものを感じていたものの聞き出す勇気はなかった…


あの人の影に重ねて


「本当に翔くんに似てるんだって!!!激似 だよ!?」


久々に4人で集まったカフェテラス。さっきから 美紀が「激似」を連呼しまくっている 。


「あんたの 似てる は当てにならないのよ昔から。」


ミキの話に突っ込みを入れる ノリカちゃん。


「本当だよ!!! クラスメイト だって 激似 だって言ってたもん!!!」


必死に 話す ミキ。内心 わくわく、ドキドキだっ た 私はとうとう 我慢しきれなくて その話に食いついてしまった 。


「本当!?ちょっとかなり会いたいんだけど!!!」


「おいでよ!! 明日授業あるから見学しに来たらいいよ !!!」


ミキと 私が 大盛り上がりを見せている傍らでリエちゃんとノリカちゃんは冷めた目で見ているだけで入ってきてはくれなかった 。


こうして 翌日 。ミキに連れて行ってもらいながら私の頭の中ではいろいろな ニコラス 先生像が浮かんでいた。


先生って言われて 北京語 教えてるぐらいだから中年のおじさんで。


ミキを信用していないわけではないけど似てるっても目元がなんとなく。とか口元が それらしい程度だろうな。なんて 色々考えているうちにドアの前まで来てしまった私たち。


ピンポーン。インターホンを鳴らし 応答がないうちにドアを開けるミキ。


「先生!!!北京語に興味があるっていう友達を連れてきたんですけど 見学してもいいですか !?」


ミキの声で 奥から出てきた先生らしき人は


長身ですごく若くて。しかも 翔君に瓜二つ!!!


「大歓迎だよ!!!いらっしゃい\(^o^)/中に入ってよ!」


翔君に招き入れてもらったような気がして大興奮の私!!!


「いらっしゃい \(^o^)/気楽にしてってよ \(^o^)/」


いつの間にか私の隣に座った男の子。誰だろう ???そう思っていると 横でミキがツッコむ。


「島田君 !いつの間に…こいつ 島田直樹って言うの 。


大学院生のガキ !!!」ミキに紹介してもらって胸を張っていたものの 最後の「ガキ」という言葉にムッとした様子。


「ガキってなんだよ !!!ったく! 口悪いんだからさ!!!」


「真面目に授業しよう 〜お客様も来てることだ しね 」ホワイトボードの位置を調整しながら先生がみんなに声をかける。


私は授業中先生の顔ばかり見つめていた 。


「さてさて 。ここまでで質問とかあるかな?」先生がそういうは度に私は「名前は何て言うんですか?」「誕生日は?」「出身はどこですか?」


と、先生のことばかり。でも先生は親切に答えてくれる。それどころか


「なんか 、スーパースターになったような気分♥ まあ、この顔じゃダメか〜」


笑顔でそういう先生に思わず


「そんなことないですよ!!!先生 、イケメンだもん!!!」と大声で言ってしまった私。


でも先生はにっこり笑って「ありがとう でも 先生はやめて、照れるから。ニコラス って呼んで 」


それが私とニコラスツェーの出会いだった。


もっと知りたい


 ニコラス 目的で通い始めた私。でも ニコラスは私以外の人にも人気で。2人で話すの なんてすごく難しい。


「ジュンちゃんは、だいぶ ここには慣れた?」


たまに 新人の私を気遣って声をかけてくれるけどあまり ゆっくり話ができない 。


周りの女の子たちは結構話してるのに。


とくに


「先生 またみんなで飲みに行こうよ!」


授業が終わって ニコラスに声をかける ミキ。


「お前 ヌキでね。酒癖悪いもん、 お前。」


島田君がそう 茶化す 。それに反抗して ミキは


「今回はセーブするって!!ジュンちゃんの 歓迎会 してないしね♥いいでしょ!? ジュンちゃん!!」


突然 話を振られてびっくりした 私はただただ 、あたふた。


「え!? 私も!?」


私の反応に不安げな表情のミキ。


「なんか用事がある???」


あまりの悲しげな目にタジタジになりながらも一応 話は聞いてみる 。


「いいけど、いつ???」


「今日」


「今日!?!?」


あまり急な話にまたまたパニクル 私。


それを見かねて 島田君が声をかけてくれる。


「マジごめんなさいね 、こいつ。飲みに行くって言い出したら聞かないから。用事がないならつき合ってやってください。」


島田君にまでそう言われたら


本当は行きたいけど嫌がる 振りをするのも続けられなくなり……

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