カインドオブシントー
高校三年生の三学期、
私は就職が決まっていたので授業はなく、寮ではなく札幌の実家にいた。
学校ではアルバイトを禁止されていた為、私は3ヶ月ほど暇になり
親にねだり、英会話スクールとフィットネスの会員になった。
英会話スクールは確か10万程で
何回かの授業があるのだけれど
教室の前がサロンとなっておりコーヒー飲み放題、
常に誰かしら先生もおり、そこで授業以外も先生とコミュニケーションを取り英語をスキルアップさせましょう、みたいなことだった。
小さなスクールで先生は3人。
カナダ人とオーストラリア人イギリス人のそれぞれ男性の先生だった。
イギリスの先生はあからさまにオーストラリアの先生をパカにしていた。
確かにオーストラリアの先生の英語はオージー訛りだった。
私が一番好きだったのはカナダ人の先生で、ブライアン・アダムスみたいなちょっとハンサムで、
性格もフレンドリー、スキーが好きだった。
余談だが、先生と生徒でスキー旅行にも行った時、私は初心者で高所恐怖症なことを忘れて、一番上までついて行き、
全く滑られず、誰かにおんぶしてもらい、リフトのUターンに特別乗せてもらったことがある。イタイ思い出だ。
そんなカナダ人先生との授業は楽しく、オージーの先生も、まぁフレンドリーはフレンドリーで楽しかった気がする。
注目すべきはイギリス人の先生。
彼はチリチリくせ毛にメガネ、今思えばウッディ・アレンみたいで、それはそれで素敵な先生だったのだけど
高3の私には、そのウィットに飛んだ会話に付いていけず
また神経質なので、こちらもピリピリとしていた。
そして彼に自身の事を聞かれた時、回答にとても困ったことがあった。
というのも私の通う学校は宗教法人が運営しており
ついでに言うと私の父も宗教の先生だった。
そこに彼は興味を惹かれたようで
私のアイデンティティがそこにあるのでは?と突っ込んできたのである。
そしてその宗教はカルトでもなくキリストでもなく、カインドオブシントーなんだね?と聞いてきた。
神道、である。つまり神社系ね。
私ですら知らなかったことを彼は私の授業の為、私との会話を広げるため調べてきたようなのである。
親は先生だし、子供の時からその施設で育った私だったけど
信仰心は薄く
グイグイされる質問に
ただでさえ心もとない英語スキルで
全然答えられなかった。
そんな事をフラニーとズーイを読んでると思い出しました。
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