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元局アナ、シリコンバレーで花屋になる。④実は英語が未だに苦手です。

最初のつまずきは中学1年

海外生活11年目になる私ですが、実は未だに英語が苦手です。

買い物は普通にできますし、海外出産も3度経験しているので、いざとなればありったけの単語力を振り絞って意思表示をする図太さは身につけましたが、込み入った話となると「ママの英語、ちょっと変だよ」と子ども達にダメ出しされる始末です。

学生時代も英語は大の苦手。

私の通っていた中学高校は英語教育にかなり力を入れてくれていたはずなのですが、力が入りすぎていて全くついていけなかったのです。

いま思い返せば無理もありません。

私は中学から初めて英語を始めたのですが、すでに英語教育を受けている小学部上がりの生徒が3分の2を占め、その上帰国子女も積極的に受け入れ、更に使用される英語教本はProgress in Englishという一部の私立で導入されている特殊なもの。授業もいきなり英語で進められるのですから。。。

私の母と同じく新入生の別のお母様が二人して狼狽えながら家庭教師を探していたことを今でも覚えています。

「中学受験に合格すればもう塾に通わなくていいから」と言われていた私は、話が違うじゃないか!と暫く納得いきませんでした。

あの時代はインターネットなどなかったので知る由もありませんでしたが、検索をかけてみたところ、どうやら難解な教本として有名なようで、私のように英語嫌いになってしまう生徒が若干名いるようです。

私と同じ境遇で中学からの入学にも関わらず、伸びに伸びまくってアイビーリーグまで行った同窓生や海外で活躍するOGも多数居るのですが、私ときたら

「なんで日本で生活してるのにいきなり他言語の勉強を強いられなくちゃならないわけ?英語なんて将来海外で働きたい人だけでやればいいじゃん。大体、なんで英語だけが世界でこんなに幅利かせてるのよ。アメリカやイギリスの高校生は大学に入るために他言語の勉強にここまで時間を割くの?」

という心境でした。(この疑問は今も自分の中にあります)


バイリンガル教育だって一筋縄ではいかない!

そんな私が思いもよらず夫の仕事の都合でアメリカへ渡ることになり、出国前は「あちらに住めば自然と話せるようになるはず」と呑気に構えていたのですが、現実はそんなに甘くはありませんでした。

妊娠中に渡米してすぐに長男が生まれ、さらに長女、次女を出産。

彼らを「日本人」「バイリンガル」として育てるために、「日本語で彼らと対話をすること」「日本語環境を積極的につくること」が重要事項となったからです。

これも勘違いされがちなのですが、日本人の両親の元でアメリカで生まれ育ったからといって、すべての子どもが二つの言語を器用に操れるバイリンガルになれるとは限らないのです。

「子ども達が小学生になると家の中でも兄妹での会話が英語になって、夫に無理を言って中学からは日本に連れて帰ることにした」

「大切なのは、幼児期にまず母語を確立させること」

「学校が現地校であれば、家庭内では日本語を徹底すること」

「海外での日本語教育には、ご両親のサポートが欠かせません」

これらはアメリカでの子育て経験のある義母や、子ども達がお世話になった日本語保育園の先生、日本語補習校の校舎長先生のことばで、私もこれまで肝に銘じてきたことです。

ちなみに「母語」というのは読んで字のごとく”母親の”国のことば。英語でも"mother tongue" と書き表されます。

「母語とは、お母さんが赤ちゃんに授乳しながら最初に話しかけることばのことをいいます。ですから、国際結婚をされたご夫婦の場合は”お母さんのお国言葉”がそのお子さんの母語になるのです」

そう教えてくださったのは、保育園の先生でした。

「母語」という表現をジェンダー論的に批判し、「母」を別の言葉、例えば「親」に置き換えて、「親語」などとすべきだとする主張もあるようですが、これをしてしまうと本来その言葉に含まれた大切な意味が失われてしまうことがあるので、むやみに日本語を変えるべきではないと私は思います。

母親が日本人でも、父親がアメリカ人で将来その子のベースとなる国がアメリカになるのであれば、英語に主軸を置いてもストレスがかからず良いと思うのですが、我が家は私も夫も日本人。

親子間のコミュニケーションを円滑に行い、子どものアイデンティティを育てるためにも日本語は保持させたいと考えているので、その分課題も山積みです。

中高時代は「帰国子女の子はいいよな〜。自然に身につけた英語でテストでも高得点叩き出せて。でも、これ以上平均点上げるのはやめてー!」と心の奥底で叫んでいましたが、彼らは異国の地でこんなに大変な思いをしていたのだと、今になってわかりました。


子育ても天から授かった大切な仕事。

子ども達への絵本の読み聞かせや話し方の指導は、ある意味アナウンサー時代に培ったスキルを生かせる仕事。彼らがこの地で私のもとに生まれてきたのにも、何かしらの意味があるのかもしれないと思いながら取り組んできました。

前述のように、身近に2ヶ国語(もしくはそれ以上)を器用に使い分けている帰国子女の友人が結構いたため、彼らに家庭でどのような教育を受けたのか訊ねてまわったのですが、みな一様に

「土曜日の日本語補習校は苦痛だったけれど、今は親に感謝している」「通信教育で根気強く日本の勉強を続けてくれた母に感謝している」「母は英語をろくに話せなかったけれどね」

と口を揃えます。

「私もこれで良かったんだ」

日本の同年齢の子ども達に比べれば語彙力は劣るかもしれませんが、家で日本語で仲良く遊んだり喧嘩したりする3人の子ども達を前に、自分にそう言い聞かせています。


でも。。。

この国で花屋を始めたいま、ビジネスツールとして英語をもう少しちゃんと話せるようになりたい願望が湧いています。

他にも習得したいことがあるので、机上の勉強に時間を費やす気にはまだなれないのですけれど。(苦笑)






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