【観戦記】またしても歴史的惜敗 ~ ラグビー日本代表vs.ニュージーランド代表
世界最高峰のラグビーチームであるオールブラックスとの対戦は「本当に強いチームは勝つのではなく負けない」と実感したゲームだった。
本気のオールブラックスがやってくる
世界でもっとも有名なチームの愛称の1つだろう「All Blacks」は1男子15人制ラグビーのニュージーランド代表の愛称。ニュージーランドの少年は一度はオールブラックスにあこがれ、ニュージーランド以外の国のプレーヤーは五日は対戦したい・倒したいと目標にする世界最高のラグビーチームだ。
前回日本と対戦したのは2018年。ラグビーワールドカップ2019™日本大会の直前だった。ワラビーズ(オーストラリア代表) vs. オールブラックスの伝統の一戦である部レディスロー・カップを日本で開催したためオールブラックスは来日したが、日本代表戦は主力選手は既に次の試合会場に向かいリザーブまたは若手選手が中心だった。
あれから4年。日本はW杯でベスト8入りし、世界ランキングは最高で8位となった。世界の強豪国が対戦国として日本を選択するようになり、試合美当日時点で世界ランキング4位(ニュージーランド)と10位(日本)の対決となった。世界ランキング4位のニュージーランドは、今年の4か国対抗ラグビーチャンピオンシップで3敗、一時は過去ワーストの世界ランキング5位となった。イアン・フォスターHCを除くコーチ陣の多くが入れ替えとなり、ようやく浮上してきた。
ここで日本に負けるわけにはいかないニュージーランドは若手やキャップ数の少ないメンバーを入れつつ、W杯3位のメンバーを中心とした主力選手を要所に入り、さらにリザーブに安定してプレーするベテラン選手をそろえた。
テストマッチ仕様のジャパン(日本代表)
秋シーズンを前にオーストラリアA代表に1勝2敗と負け越した日本は、テストマッチの赤白の桜のジャージに着替え、いよいよオータム インターナショナルシーズンを迎える。
W杯2019の主力メンバーに加え、オーストラリアA代表前に世界レベルの対戦で力をつけてきた若いメンバーを配置した。注目された司令塔SOには今年5年ぶりに代表に復帰した山沢選手を配置。「ファンタジスタ」の呼び名を持つ山沢選手の試合のコントロールに期待が高まる。
個人的に注目はPR具選手だ。スクラムの一列目として絶対の信頼を得る”ぐーくん”が約半年ぶりの実戦に帰ってきて、スクラム1列目にW杯2019のスターティングメンバーが揃った。
試合前
チケット約65,000枚がSOLDOUTした会場には、キックオフ2時間前からすでに興奮気味の観客がぞくぞくとやってくる。W杯2019の興奮に似ている。試合前から早くも期待が高まる。
キックオフまで1時間を切ったころ、両チームの選手が徐々にピッチに姿を現した。今回メンバーに入っていないが、日本では人気が高いバレット兄弟やマッケンジー選手の姿も見られた。
いよいよキックオフが近づく。
男声合唱団による力強い国歌斉唱につづき、ニュージーランド代表のウォークライ(戦い前の踊り)である「ハカ」が披露される。2種類あるハカのうち"Ka mate(カマテ)”だった。対する日本はセンターラインぎりぎりに一列になってそれを迎える。
あと一歩届かなかった勝利
試合展開は各種メディアで記載されている記事が素晴らしいので、ここではそちらに譲りたい。Jスポーツのピッチレポーターとして臨場感あふれるレポートとを公開されたラグビージャーナリスト・村上浩一氏のレポートを紹介する。
後半4点差に追いついたとき、会場は「あのオールブラックスに勝てるかもしれない」とつかの間の夢を見た。
しかし、最後はPGで7点以上の差をつけてオールブラックスが勝利した。
本当に強いチームとは「負けないチーム」だった
後半、LOレタリック選手がレッドカードで退場して数的優位に立った日本。その前まで善戦した日本は、数的優位によってできた相手のスペースを利用して逆転できる可能性もあった。
夏のインターナショナルシリーズのフランスでも感じたことだが、強いチームは「勝つ」というよりも「負けない」のだ。自分たちがどんな状態であってもギリギリのところで持ちこたえる。
秋シーズンのニュージーランド代表にも同じことを感じた。
ありがとう ALLBLACKS。
PHOTO GALLARY
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