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【観戦記】初めての女子ラグビー🏉 - 女子日本代表vs.女子南アフリカ代表

「女子ラグビー、面白い!」

試合が終わって一番最初の感想だった。なんだろう、この高揚感と興奮は!男子の試合のような圧巻のスーパープレーはないし、高度でシステマティックな戦術に驚くわけではない。でも、一挙手一投足見逃せない、と思える試合だった。

ありがとう、サクラフィフティーン。

女子ラグビー日本代表とは

愛称は「サクラフィフティーン」
日本初の女子ラグビーチーム「世田谷レディース」できたのは1983年、その後日本代表相当のチームが設立されたものの、男子と同じ日本ラグビーフットボール協会(JRFU)に女子チームが加盟できるようになったのは2002年。ようやく男子と同じ日本代表ジャージで試合を行うチームとなった。

女子世界ランキングは、北米(カナダ、USA)が上位にいるなど、伝統が順位に反映されている男子のランキングとは勢力図が異なっている。その中で日本は徐々に順位を上げ、現在は12位である。

代表メンバーの多くは大学またはクラブチームに所属する。男子のような年間を通してラグビーの公式戦がない国内の女子選手は、学業や仕事をしながらラグビーをプレーしている。その中で近年では海外チームに籍を置いてプレーする選手が出てきており、日本が世界レベルに向けて向上する一助となっている。

この試合の位置づけ

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で1年延期された女子ラグビーワールドカップが、2か月半後の2022年10月8日から行われる。

この2022年夏のテストマッチは、9月に女子ラグビーワールドカップ2021™ニュージーランド大会の前哨戦であり、各国代表とも戦術や選手を試す最後のチャンスだ。

試合の見どころ

南アフリカ・アイルランドと連戦する夏のテストマッチは、5年ぶりの国内での開催となった。

日本代表は勝利した第1戦からメンバーを8人交代した。暑い日本の気候の中での2連戦の体調管理と合わせて、RWC2021に向けていろんな選手を試したいという意図だと思われる。キャプテンのPR南選手はリザーブスタート、その間のゲームキャプテンはLO玉井選手が務める。

対戦相手の女子南アフリカ代表は、世界ランキングが日本とほぼ同等のライバルだ。高い身体能力を活かしたパワーあふれるプレーが特徴だ。

熊谷に響く南アフリカ国歌に涙する

熊谷ラグビー場 x 南アフリカといえば、2019年9月の南アフリカ代表戦が思い出される。熊谷ラグビー場がラグビーワールドカップ2019™日本大会開催のために再整備された熊谷ラグビー場のこけら落としとして開催された。

日本vs.南アフリカ代表といえば、ラグビーワールドカップ2015™イングランド大会の「ブライトンの奇跡」。南アフリカからすると弱小国だと思っていた日本に屈辱的な敗北をした試合だった。そして2019年、再び対戦した日本を完全に抑え込んで勝利した。

そして、この敗北から修正した日本はラグビーワールドカップ2019™日本大会で大躍進を果たした。
あれから3年。南アフリカ代表が再び来日し、同じ熊谷ラグビー場に南アフリカ国歌と日本国国歌が流れた。3年前のような大合唱はできないけれど、国歌を歌ったファンたちは心の中で合唱して涙した。

試合展開

17:45キックオフ。試合前は遠雷が聞こえ、雨雲にも心配したが、何とか点呼に恵まれて試合開始した。

日本は序盤からテンポよく相手陣内で攻撃を展開する。前半5分、ゴール前のラインアウトからのモールでゴール前までボールを運んだ日本代表は、左に展開し、SH阿部選手から渡ったパスでSO大塚選手のトライを決め先制した。しかし、その後は南アフリカのフィットネスを活かした力強い突進に対して、日本はタックルするものの、じわじわと陣地が奪われていく。一方の日本も数少ないチャンスからの攻撃を仕掛けるが、相手の力強いディフェンスの前に、今一歩攻撃を進められない。そしてついに前半32分には、相手のWTBマリンガ選手がゲインラインを突破すると一気にゴールまで走り切って逆転トライを決める。

後半の日本も、果敢に攻め続けるが相手の強いディフェンスのぷ列車からか、ハンドリングエラが重なり得点が得られない。一方の南アフリカは最後まで体力が切れることなくアタックを続け、ランキング上位の日本代表に勝利した。

(出典)日本ラグビーフットボール協会

女子ラグビーの魅力

(とても失礼かもしれないけれど、)男子日本代表のシステム化されたゲームプランではあまり感じられなくなってきた「粗削りだけど一生懸命」があった。

南アフリカ代表とはいえ、男子の日本/南アフリカ程の体格差がない女子では、タックルに行く戦術も異なる。常に1-2でマークするわけではない。システムはもちろんあるが、それよりも個々のスキルで勝負をしている印象だ。また、「粗削り」といえば、ラインアウト時に南アフリカ代表は2度のEarlyJump(アーリージャンプ)があった。1つ1つのプレーが緻密な日本では見ない反則だし、男子のテストマッチでもまず起きない。
これからさらに発展して上を目指す女子の一生懸命さに目と心を奪われた。

そして、ちょっとにわか目線で行けば「女子ラグビーは見やすい」のが魅力だと感じた。男子ラグビーほどスピードやパワーがない分だけ、タックルも密集もわずかだがスローに感じる。私は男子ラグビー日本代表などの試合で「速すぎて何が起きてるのかわからない」があるが、それがないのだ。一つ一つのプレーを丁寧に見ることができ、自分の目で曲面が分かるからこそ、一歩引き込まれるのだ。

そして何より、南アフリカの選手の歓喜、日本代表選手との笑顔の交流はとても明るく華やかで、見ている観客も笑顔になった。

アイルランド戦に向けて

次戦は、女子ラグビーワールドカップ2021™ニュージーランド大会前最後となるテストマッチだ。格上のアイルランドを相手に今回の敗北からどのように修正してくるのか楽しみだ。

ラグビーワールドカップ2021™ニュージーランド大会まであと2か月を切った。まずます女子ラグビー日本代表から目が離せない。


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