【観戦記】サクラフィフティーン、格上の相手を撃破! - 女子ラグビー日本代表vs.アイルランド代表
女子ラグビー日本代表が、世界ランキング6位のアイルランドを撃破した。
2022年8月27日に秩父宮ラグビー場で行われた、女子ラグビー日本代表vs.アイルランド代表は、29-10で日本代表がアイルランド代表を破り、7度目の挑戦で初勝利した。
試合概要
日本国内では5年ぶりに開催されている女子ラグビーのテストマッチ。
この「太陽生命JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2022」の4連戦の最終戦である。
2021年10月8日から女子ラグビーワールドカップ2021™ニュージーランド大会(2021年開催の予定が世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で一年延期されたため2022年に開催)が行われる。
この試合はワールドカップ前の最終調整と選手選考を兼ねている。チームでの戦略の確認や実績としての勝利はもちろん大切だが、これまで試合出場機会が少なかった選手にとってはワールドカップメンバー入りに向けたアピールの場でもある。また、日本のファンに女子ラグビーをライブで観戦してもらい、W杯に向けてムーブメントを作りたい試合でもある。
この試合の見どころ
女子ラグビーアイルランド代表
対戦するアイルランドは日本より格上の世界ランキング6位。しかし強豪がそろう欧州ブロック予選を勝ち上がることができず、ラグビーワールドカップ2021™ニュージーランド大会は出場を逃している。
日本はこれまでに6回対戦して一度も勝利していない。一度は勝ちたい格上のチームだ。
前週8月20日の試合では、前半日本代表が2トライを挙げて先制するものの、すぐにペースをつかんだアイルランド代表がパワーで日本代表を圧倒した。後半には6トライを奪われるなど大量得点を挙げ、JPN 22-57 IRE(前半15-19)とアイルランド代表が快勝している。日本としては、完全に押された試合だった。
登録メンバーはほぼ変更なし。
キャプテンのLOフライデー選手(Nichola Fryday)は、身長は175cmとLOとしてはそれほど高くないものの、相手を強いタックルやボールキャリーが日本の攻撃を阻む。
注目選手
前試合からメンバーを大幅に入れ替えた。
注目選手は二人。一人目は 9番SH(スクラムハーフ) 阿部恵選手。
身長147cmの小さい体ながら、試合の中での存在感は大きい若手SH。密集からの速い球出しで試合の起点となる。
もう一人は15番FB(フルバック) 松田凛日選手。前試合ではCTBだったが、この試合ではFBで先発する。爆発的なランはFBで最後方から相手に立ち向かうのに向いているに違いない。トライが楽しみだ。
試合展開
日本のキックオフで開始した。前半3分アイルランドがセットプレーからトライを決めて先制を許したものの、その後は日本がボールを持ち試合を運ぶ。前半16分にはスクラムからバックスでボールを展開すると、最後は相手ディフェンスの隙間に入ったSO大塚選手がトライをとった。同じくSo大塚選手のコンバージョンキックが成功し、日本が逆転した。
日本が優勢にゲームを進めているように見えたが、次のトライは前半36分になった。アイルランド陣内でのスクラムからSH阿部施主が素早くボールを出すと、SO大塚選手→FB松田選手にボールがわたる。相手のディフェンスを吹っ飛ばす力強さを見せたFB松田選手がトライを決めた。前半を12-5と日本がリードして折り返した。
FB松田選手の活躍は止まらない。後半14分にはボールを受け取ると相手のディフェンスをステップで躱し、50m余りを独走してトライを決める。そのほかにも2トライした日本は、世界ランキングでは上位にいるアイルランドに対して29-10 と快勝した。
試合写真
いい仕事のご褒美は次のいい仕事
仕事をしていると「いい仕事のご褒美は次のいい仕事」と言われる。まさに女子ラグビー日本代表の素晴らしいニュースがそうだ。
W杯の準備で入るニュージーランドで、ニュージーランド代表(女子は”ブラックファーンズ(Black Ferns、訳すと「黒いシダ」)”と呼ばれる)との対戦が決まった。現在世界ランキング2位であり、W杯で優勝5回を経験し、自国開催の女子ラグビーワールドカップ2021™ニュージーランド大会では優勝候補の筆頭である。
そのブラックファーンズがラグビーワールドカップ前の仕上げの練習相手に日本を選んだ。日本代表としては強豪が揃うのラグビーワールドカップのプール戦を前に世界最高峰のチームに向けを借りてあたることができる。
この一戦をさらにステップにワールドカップでも活躍を楽しみにしたい。
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