私たちは思いのほか、見えないなにかに支えられている。マラソンランナーはひとりじゃない。
「マラソンランナーはひとりで走っているわけじゃないんだよ」
中学の時の担任の先生がそんなことを言った。
“だいたいのことは1人でもできなくはないでしょ”と尖っていた14歳の終わりかけの頃だった。
“そこに道さえあれば、走れるでしょ”と思っていた。
担任の美人でスタイルもよくていつもキリッとした表情をした先生は続けて言った。
「まず、真っ暗闇の中走っているのを想像してみて。
それから、次に、もう一つ想像してみてほしい。道を照らす街灯がある。道の脇に応援してくれて