見出し画像

支援物資選択モデル

大規模災害時において毎度発生する問題は,集積所に物資が溢れることだ.これを避けるためには政府が熊本地震で採用したプッシュ型輸送ではなく,プル型を用いる必要がある.

ここでプルというのは県の要請を受けてから国が運ぶという旧来型のプルではない.被災地側からの要請を待つのではなく,被災地外の自治体は支援可能な物資の種類,量,輸送可能な日数(リード時間)を災害中央管理センターに送る.これは一種のプッシュであるが,今までのように闇雲に物資を運んでいたのでは,集積所でトラックの長大な列ができ,支援物資で溢れかえることになる.

被災地外からの供給支援情報を「供給」と呼ぶことにする.これらの供給はWebシステムによって供給発信を許可された自治体に限定して登録することができる.Webシステムは,最適化によって自動的に,これらの供給の中から必要なものを選択し,被災地の周辺に配置された集積所に割り振り,さらに物資到着のタイミングをコントロールする.これは支援物資が供給の発地を出発する日を指定することによって集積所での待ちや物資の超過を防ぐためである.

供給の集積所への割り振りは,集積所の選択と同時にロジスティクス・ネットワーク設計モデルを用いて行い,供給の選択と出発日時の決定は,供給の選択を考慮した在庫方策決定モデルによって行う.後者は,supplier selection modelと関連がある.新しいモデルが必要であるが,それほど難しくない.

minimize 輸送費用+在庫費用+バックオーダー費用

subject to 在庫費用計算式
     バックオーダー費用計算式
     供給選択式

需要の不確実性はロバスト最適化で,複数品目の考慮の際には,集積所の処理能力の上限を付加したモデルにすればよい.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?