複数店舗のシフトスケジューリング

1店舗のシフトの最適化は,正しく定式化すればほとんどの問題例が解決できる.使うのは市販の数理最適化ソルバーか制約最適化ソルバーで良い.それを購入するための予算に見合う応用例なら,容易に解けるが,ソルバーを買うに見合わない応用だと,自前のヒューリスティクスを作るとか,無料のソルバーを使わないといけないので,ちょっと苦労することになる.

1拠点で最大規模だと,某洋服やと電気屋の合体店舗があるが,ここでバイトしていた学生の研究では問題なく解ける.1ヶ月分を30分刻みでモデル化し,スタッフのスキルレベルを考慮したタスク割り当てまでが最適化できる.もちろん,定式化の力量がないと難しい.某電話会社の最適化部隊では無理だが,正しく定式化すればGurobiでもSCOPでも解ける.

1店舗のシフト最適化は,研究としてはやり尽くされた感があるが,残された問題の中で特に重要なのは,複数店舗でのスタッフのやりとりを考慮した同時最適化だ.幾つかの企業でやろうとしたが難しいので頓挫したようだ.

通常は,店長同士が電話でやりとりしてヘルプしてもらったりするようだが,非効率だ.1店舗のモデルをそのまま複数店舗にして,移動時間などを加味したモデル化だと,組合せ爆発を起こす.

店舗間におけるスタッフの人員移動の可能性はタクティカルレベルでモデル化し,細かいスケジューリングはオペレーショナルな(通常のシフトスケジューリングとしての)モデル化で解くというのが良い.

前者は新しい最適化モデルになるが,複数店舗の時空間ネットワークを作成し,スタッフの移動をフローとして定式化し,過不足分を互いに補う最適化問題として定式化する.遠い店舗間での移動は非現実的なので,地点の近さを考慮した小規模ネットワークを作成し,それ上で最適化することによって,全体の解の改良を行う(所謂,大近傍局所探索法だ).

宅配便や携帯電話会社などのシフト最適化にはニーズがあると思われる.

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