我が国の宅配便の問題点とその解決法

一人でSPRINTの1日目もどきをしてみました.

問題点(順不同)
1. 不在時の再配達
2. センターやベースでの仕分け作業の超過
3. 荷物量の増加を,配送,仕分け,輸送が対処しきれない.
4. メイル便やAmazonの荷を運んだ際の費用と利益の分析ができない.シミュレーション機能がなく,What If分析ができない.そのため定量的な意思決定ができない.
5. 配送経路の最適化が不完全.エリア(分割した小領域)内を巡回セールスマン問題で解くだけのシステムの限界.
6. 情報が逐次更新される動的なシステムにもかかわらず,動的な最適化になっていない.
7. 現場の勘と経験に委ねられたきた部分が多いが,経験を有する作業員が減少している.
8. 長距離輸送のドライバーの不足
9. 仕分け作業員の不足
10. センターやベースでの荷物の集中する時間帯の平準化
11. システム導入までのタイムラグの長さ
12. システム完成後に現場の評価を行うので,必要なシステムと開発したシステムがミスマッチ
13. センター間での荷量の差による不公平(片方で残業を余儀なくされて,片方で時間が余っている.)
14. フィールドキャスト(FC)による積み替えが不効率
15. 朝の積み込み作業が配送順を考慮していない.

解決法(HMW:How Might We)
1. 過去のデータからの不在確率の推定
2. 到着時刻を専用アプリで事前通達し,了解か否かの返事をもらう.さらに,不在予定の場合には,希望時刻を簡単に(今のシステムは面倒)入力してもらえる仕組みを専用アプリで提供.専用アプリにはポイントなどを付与することによってインストールしてもらうようにする.
3. サービスネットワーク全体の見直し(一時期にセンターやベースに負荷がかからないようにする).
4. シフトスケジューリングによる必要な人員を適切に確保.
5. 収益になる荷物だけを引き受けるようにする.その際には,荷物の発地から着地まで運ぶための総費用の推定が不可欠(それがないとAmazonなどを説得できない).
6. 動的配送計画システムの導入;単なるエリア内を巡回セールスマン問題の解で繋ぐような不完全なものでなく,1日の複数回転の巡回路を先読みして最適化.その際,過去のデータから現在時刻以降に発生する需要も予測することが望ましい.
7. 長距離輸送には自動運転車も考える(10年後を踏まえて).
8. 試作プロトを1週間程度で作成するSPRINTの導入による,高額な失敗システム作成の回避
9. SPRINTの際には,ヒヤリング,インタビューに必ず現場の声を入れる.(会議室におけるシステム開発の回避)
10. 1つのセンターだけで配送最適化をするのではなく,近隣の複数センター間を同時に最適化することによる労働時間の平準化
11. FCの配送経路までを含めた最適化(その際には荷物の大きさや重量が事前に分かっている必要がある.)
12. 朝の積み込み時点で第1便の巡回路を決めておき,その順に積み込む.またFCが担当する荷物はまとめて箱に入れておき,途中の積み替え地点で荷物を出して積み替えないようにする.箱をFCの手押し車に移すためには機器の工夫が必要になる.
13. 担当エリアと顧客数を考慮したエリア評価システム(配送費用の近似値として巡回セールスマン問題の解を用いる.)

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