人道支援ロジスティクスについてのメモ1

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震災直後のロジスティクス活動については,政府からいくつかの報告書が出ている.それを眺めてみると,小売店や物流業者が普段やっている手順を書いてあるだけのことが多い.手順とは,たとえば,ファックスや電話で注文を出したり,トラックの配車指示を出したりすることだ.

一方,震災や津波などの大規模災害の直後では,そういった手順がとれないことが予想される.もちろんファックスや電話が使用できないという前提で「動く」仕組みを作らなければならないし,また,推奨されている手順はかなり細かく,これを市区町村や県の人たちにやれというのは無理があると考えられる.つまりほどんどが絵に描いた餅なのだ.

私は普段は計算機を用いたサプライ・チェインの最適化の研究を行っているが,研究の中には計算機を用いない簡易手法も数多くある.それらをうまく組み合わせることによって大規模災害の後のロジスティクスを円滑に動かすための仕組みができないかと考え始めた.

在庫を処理するための基本的なアイディアはカンバン方式だ.カンバン方式は当時は貧乏だったトヨタがGMやFordに対抗するために編み出した簡易在庫管理方式である.これを避難所から集積所までの情報の伝達に用い,可能ならば支援物資の提供者までの引っ張り型の在庫システムを構築する.

また災害時のロジスティクスの問題点としてlast mile deliveryがある.つまり,支援物資の集積所から避難所までの配送の担い手がいないのだ.もちろん,配送最適化システムを使うことは難しい.私が提案するのは,Georgia echのProf. Barthldi IIIが昔提案した空間充填曲線法だ.これを上述のカンバン方式と組み合わせることによって,簡易型の引っ張り型のロジスティクス ・システムの構築が可能であると考えている.

多少の封筒の裏の計算を自治体ごとに行う必要があるが,これについては続稿で述べることにする.



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