いなくなってから好きになると言うこと

2020年7月18日。人々が大きなショックを受けた出来事。

俳優、三浦春馬さんの突然の死。それまでは、コロナの感染により芸能人の突然の死を知ることはあったけれど、そうではない突然の死。若い人の自らの死。

子役の頃から活躍されていた三浦春馬さん。誰もが10代からの彼をどこかしらで見ていて、成長や歳の重ね方を知っていて、いつもいつも主役級ってわけではないけれど、“よく目にしていた感じの良さそうな青年“の突然の死。会ったこともないし知り合いってわけでもない。なのになんで??と感じるくらい、しばらくの間ショックな日々が続いた。泣き崩れたり、落ち込んで何も食べられなくなったりという訳ではないのだが、いつどこで何をしていてもいつも彼の存在が頭の片隅にチラついた。当初は、友人とショックを共感しあうこともあった。家族や身近な人とも衝撃を受けたと話した。でも、だんだんとその話もなくなった。しかしながらSNSを開けば、今までの活躍が眩しいばかりにアップされていて、悲しむ沢山の共演者、彼を慕う人たちのブログ、Twitter、Instagram、ネットニュースを目にしない日は2ヶ月以上経った今も見ない日はない。

私のような人は少なくないだろう。毎日毎日、スマホを開くたびに目にして、誠実なインタビュー、チャーミングな笑顔、どんなシーンにも対応するスマートさ、カッコよく可愛らしい。歳の離れた女性にも愛される“国民の弟“のような人柄に。気付いたら…こうゆう恋の落ち方もあるのだなぁと。

ただただ悲しいのは、今まで多くの芸能人に憧れを抱いてきたけれど、今までと違うのは、もうこの世にいない人だということ。沢山の素晴らしい作品を観ることは出来るけれど、新しいものは観れないのだということ。歳をとる姿も見られないのだということ。共にこの時代を生きていくことはできないのだということ。

すごいファンというわけでなかった。でも、「ラストシンデレラ」、「女城主直虎」、ASLという病気のことを知るきっかけになった「僕のいた時間」、「私を離さないで」などなど好きな作品はスラスラとあげられる。嫌味がなくて、メインではない役も魅力的で作品を引き立てる。イケメンなのに他の人を邪魔しない感じ。だから、スッと馴染んでしまって特別のファンにならなかったのかもしれない。

とにかく、自分で認めなくなかったのだけど、この世にいなくなってしまってから、カッコよさとスマートさ、仕事に対する向き合い方や努力してきたことを嫌というくらい知ってしまった。魅力に日に日に気付いてしまって、気付いたらすごくファンになってしまった。なんて事なんだ!!

好きな芸能人が見つかることやその人を見て、癒されたり、励まされたり、モチベーションが上がったりすることは楽しいことなのに、なんか悲しい。。

こうゆう人、いるよね。絶対いるよね、私だけじゃないよね!?!?!?

そんな私の今一番お気に入りの春馬さんの出演作。テレビ東京で深夜に放送されていた「tourist ツーリスト」。本当にカッコイイ。だから時々思ってしまうのだ… なんで、彼だったのだろうって…他の人だったら、こんなに悲しくなかったのかなぁとか。こんなに喪失感を感じなかったのかなぁとか。。

人の命は誰もが尊い。重いも軽いもない。だから、そんなことを言っては(思ってはいけないのだけど)テレビやSNSを眺めながら、他の人だったらなぁなんて思ってしまう私は、れっきとしたファンの証拠。時が経つのを待ち、自分の気持ちが心落ち着くのを待ち、冷静な目で考えてみた。

今までにない、なんだか堂々と“私好きなの“、“ファンなの“、“彼が好き“と大きな声で言いにくく感じるのは、本来のファンだからではなく、亡くなってからファンになってしまった殻なのだろうか。そんな今夜もひっそりと彼の過去の作品を思い出し感傷に浸っている日々なのです。

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