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香水は時代観も考えてまとうべきだ

大学を卒業した頃は、シャネル、ディオール、エルメス、グッチ、ラルフローレン、フェラガモなどの基幹ブランドの香水に手を出しては、どうもしっくりこないと迷走した。

香りには形がない。

香りはつける人間の持つ皮脂などの体臭と交雑して変化する。

同じ香水でも、つける人ごとに異なる香りになる。

だからムエット(香りを確かめるために吹き付ける紙)で確かめても、それは香水自体の香りで、トップノート(最初の香り)、ミドルノート(中間の香り)、ラストノート(最後の香り)と時間で経過していく変化も確かめにくい。

客観視しにくいから、その香りが自分にマッチしているのかどうかは他人の鼻しだいということになる。

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さらやっかいなのは、香りを嗅ぐ人ごとに好きな香りと苦手な香りが存在することだ。

人気の香水、お勧めの香水のランキングなど当てにならない。

新宿伊勢丹メンズ館で、ペンハリガン(PENHALIGON'S)のラインナップに出会った。

1870年にウィリアム・ペンハリガンによって創られたイギリスの香水で、一軒の理髪店から創業されたという。

ロイヤルワラント(イギリス王室御用達)であることも気になった。

最初に購入したのがオーパス1870オードトワレだった。

次に購入したのがCASTILE(カスティーユ)だった。

次に購入したのがLPだった。

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ペンハリガンが面白いのは、トップノートは射撃のように強く香るのに、2時間ほど経過したミドルノートで、花と柑橘の香りに変わり、4時間あたりのラストノートが森林の落ち着きに香ることだ。

これで迷走は終結したと思ったのだが、そうはいかなかった。

香水は時代を映す鏡

香水は、時代の変化も考慮しなければ、うかつにつけられない。

1980年代の終わりから1991年まで続いたバブルの時代には、Cディオールのプアゾンに代表される官能的な香水が流行った。

好景気の浮かれ気分に伴って、セクシー文化が花開いた時代を反映している。

2010年くらいから、ペンハリガンといえど華やかな香りをつけているのが恥ずかしくなった。

もっとも出番が多いのはダンヒル・アイコン。

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2015年から販売が始まったダンヒル・アイコンは、ひと言でいえば落ち着きの香りだろうか。

モード(流行)を追いかけない服飾を信条としている私だが、時代を考慮して時代と協調する香りを選択する心得は保ちたい。

なぜなら、香水こそ他人へ配慮しなければならないファッションアイテムだからだ。

時代錯誤の人物と印象を持たれないためには香りへの配慮を欠かしては
ならないのである。



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