【改訂版:入門者向け】クラリネット購入の手引
友人のお子さんが、中学入学!そして吹奏楽部入部、ということで楽器を買うそうです。まずは、この大変な時代に学問に励む中学生。そして、音楽に触れる人口が増えることを祝福したいと思います。おめでとうございます〜!
サックス吹きが専門外のクラリネットをどこまで語れるのか分かりませんが、自分自身も勉強しつつ、まとめてみたいと思います。
【クラリネットの歴史】
まずは、歴史からです。
自分自身の楽器が、いつ生まれて、どんな構造で音が鳴るのか知るのは大事ですね。それから、たくさんの演奏を聴きましょう!
【さぁ、楽器を買うぞ!】
なかなかお小遣いでクラリネットを買う人は少ないと思います。となると、頼りになるスポンサーは、家族!
ところが、そのご家族は余程の理由がない限り、それぞれの楽器の違いや、値段の差も分からないのが普通。中身の分からないものに、大金を払うのは大変なことですので、できる限り良い選択の手助けができればと思います。
【結論:ヤマハにしよう!】
あくまでも、候補であり参考です。でもこれが最良だと思います。
高温多湿の日本にぴったりの木製と一部ABS樹脂のハイブリッドモデル。
ヤマハというのは、日本メーカーにして最大規模のメーカーです。
この春、入学したての中学生ということは、
・身体的には未成熟のため、吹きやすい楽器が一番
・楽器の扱い方も当然不慣れ
・合奏においての、音程の取りやすさが何より音楽に集中するために大切
当然ながら、全て林の持論です。
30万オーバーの高級で高品質な楽器は存在しますが、考え方として、最初から良い楽器を持たせて、よい感覚を磨かせるべき!という流派もあるでしょう。
否定はしません。
けれど、金銭的な負担はどうしても大きいです。そして、まだ中学生が始まったばかり。色々な可能性を試す入り口かもしれません。その中での、ヤマハが持つ品質と価格は、飛び抜けています。なので、僕はヤマハのモデルをオススメします。
【本当に大事なポイントは2つ】
この2点が、先に挙げた結論以上に大切な要素です。
【楽器店の吊るし?】
少し調べた方ならば、楽器をネットショッピングで買おうとしないでしょう。必ず楽器店を訪問して、試奏をして購入します。その際、できれば購入する楽器の演奏に長けている先輩や、先生と一緒に選びましょう。お礼も忘れずに。
楽器店に並んでいるものは、基本的にメーカーから送られてきたものを、簡易的な初期点検をして、そのまま陳列されていることが、ほとんどです。これを、”吊るし”と呼びます。
選定楽器、というものがあります。
○○先生選定!というものです。これは、その楽器店在庫を、有名な奏者の方が実際に試奏して問題がないか確認したものです。どうしても個体差があるアナログな楽器=管楽器です。そこから、とてつもなく質の悪いものをはじくのが選定の側面でもあります。
が、ここで提案。
【新品購入の楽器をリペアマンに一任する】
こちらはサックスを元に話されています。本当にこれが必要です。そして、これをしてしまえば選定なんて要らないんじゃないの?というのが、個人的な意見です。
楽器を買う!ということは、”初期全分解調整の予算も含めて検討する”、というのがこれからのスタンダードでいいと、林は思います。
長く使いこんでくたびれた楽器ではなく、新品なのにイチから組み上げる。そうすることで、その楽器の本来の力を最大限に引き出して、末永く音楽に集中する環境を整えることに繋がります。
30万オーバーの楽器が持つ本当の鳴りは、信頼できるリペアマンの方による力に頼るべきでしょう。それは、楽器ビギナーである中学生であれば、なおさらです。
全国に多数の販売店を持つ島村楽器Web価格を参考にします。YCL-450Mのメーカー希望小売価格は¥181,500。お店での値引きが1割入り、¥163,350です。
前述の動画で紹介した絶大な信頼を寄せるアトリエサンの南さん
こちらでの、クラリネット全分解調整は¥22,000-となっております。
★全分解による完全調整
全分解でトーンホールチェック、タンポクリーニング・撥水加工、キイガタ修正・鍵ネジ合わせ、酸化オイル除去及び再塗布、管体洗浄、不良フェルトコルク交換(9割交換)、キイ角度・オープニング最適化、スプリング最適化他で楽器の根本からたて直しします。
ということですが、これをこの価格でされている南さんもまたバケモノです(二回目)
既に林は所有している楽器を3本お世話になっています。どれも、
「あなた!そんなに鳴る楽器だったのね!」
という変貌ぶりです。そんなことは、楽器始めたての中学生には分からないだろう?と思うかもしれませんが、だからこそです。最初に、本当の吹き心地の良い状態を知るのが、身の丈に合わない価格の楽器を所有すること以上に大切だと思います。
ましては、クラリネットは天然素材。木です。どんなにメンテナンスを適切に心がけていても、割れることがあります。割れれば修理もできますが、割れて息漏れをしているのに、気づかずに吹けば苦しい時間が増します。
学生にとっても、大人にとっても、練習時間の確保が最大の課題です。それを、メンテナンス不備な楽器で、無駄な時間を積み重ねるのは避けるべきです。
島村楽器 管リペアセンターの杉浦さんのBlog。文章もリズムも面白いのでオススメ。上記のものは、クラリネットの割れリスクを減らす方法についてです。必ず読みましょう。そして、スポンサーさん(=両親)も読みましょう。
割れたらそこで終了だよ,,,ではないです。
治ります。でも、完全には治りません。<後編>も読みましょう。
ヤマハには、YCL-255というモデルもあります。
なぜ安いのかというと、こちらは、本体がABS樹脂です。つまり木製でないのです。ゆえに屋外での演奏(野球応援とか?)には安心の楽器ですが、やはりそこは樹脂製。木製と同じ音質は望めないでしょう。吹奏楽のアンサンブルの中でも、浮く可能性もあるので、今回は選外とします。
【結び】
僕は、サックスとフルート吹きですが、根本的な発想は同じでよいと思っています。特に、木管楽器という意味では、です。
今回は、中古楽器は選外にしましたが、良質なものを見つけられればアリだと思います。その際も、適切な初期メンテナンスが不可欠です。
が、オススメしたい結論となります。もちろん、予算に余裕のある人は、上位機種や、他の海外メーカーも良いでしょう。(初期点検が大前提!)
2022年、リニューアルモデル。販売価格 ¥232,650 (税込)。
では、よき音楽時間を!