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Margo-物語と糸- #41 |パウル・クレーを染める

 大きな台風が去って、やっと秋めいてきました。編み物のシーズン到来ですね。Margoの手染め糸も、9月23日(金・祝)、5ヶ月ぶりにSHOPオープンいたします。

 今回は物語シリーズをお休みして「パウルクレー」がテーマです。
Midoriさん @midori_hirose_knit がデザインしたパウルクレーセーターを染める #paulkleeDAL (Dye along)に参加してキットが完成したのを記念し、クレー特別編を行うことにしました。 

 DALとは、Dye Along(ダイ アロング)の略で、「手染め糸をつくるダイナーたちが皆で一緒にパウルクレーセーターを染めてみましょう」というイベント。
 Margoのふたりはセーターのキットなど一度も制作したことがありませんし、セーターを編んだことさえなかったのですが、パウルクレーセーターがとても魅力的なデザインだったので、思い切って挑戦を決めました。正直、ドキドキでした。


コンポジション「ポリフォニー」を題材に

 クレーは20世紀前半にドイツ前衛美術の旗手として活躍し、バウハウスでも教鞭を取っていた有名画家です。シンプルな線画からカラフルな抽象画まで作風は広く、音楽を絵画に落とし込んだり、アルファベットや矢印などの記号を絵画に溶け込ませて意味を持たせたり、さまざまな挑戦を行っています。

 膨大な作品を残したクレーですが、わたしたちのお気に入りは、やはりセーターの題材にもなった抽象的な色彩コンポジションのシリーズ。そのなかから「ポリフォニー」という絵画をベースに、染めを担当するにじむ(岡部陽子)が独自の世界観でセーターの色彩を構成しました

完成したセーター

 ポリフォニーとは音楽用語で、複数の音が重なって同時に響く様を指すそうです。にじむが染めた糸たちも、それぞれの色がゆらぎを見せながら、互いに響き合って全体を構成しています。
 また、クレーのコンポジションにはよく「たらしこみ」という水彩絵の具をにじませた技法が使われています。にじむ自身も、ダイヤー名にしてしまうほどずっと色のにじみをテーマに染色作品を創作してきましたので、クレーとは気が合いそうですね。

 今回、セーターを構成するそれぞれの糸が美しく染まったので、キットだけでなく単品でも販売することにしました。
 また、クレーの絵画を一かせに落とし込んだ「北海の海」「金色の魚」という糸も、素敵に仕上がっています。Margoのクレーの糸たちが、お手にとってくださった皆さまの作品の一部となり、ポリフォニーの一音となれることを願ってやみません。

北海の海
金色の魚

 最後に、パウルクレーセーター制作では、作者のmidoriさんはもちろん、テストニットをしてくださったmakiさん@baron_amimono にも大変お世話になりました。midoriさん、makiさん、本当にありがとうございました。

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