同じものを見ても…

画像1 かつて包装資材メーカーの企画部署にて20年仕事をしました。毎年展示会を開催して、取引先に新製品のお披露目や用途のアイデアを紹介するのも担当していました。その中で忘れがたいのが「キラキラのカッティングが印象的なパッケージ」をメインに紹介した時の事。象徴的なオブジェが欲しくて商業施設を一日中廻ってダイヤカットのクリスタルガラスのオブジェを見つけました。ひとつだけ購入し所属部長に見せてイメージのラフスケッチを示しながら「照明を容器に当てて、周囲はこういうキラキラのアイテムで飾ります。
画像2 シャンデリアをつるして、入り口で誰もが目を留める演出をしたいのです」と。部署長は目をキラキラさせて「いいね!すすめて欲しい」とOKを出してくれました。さて、展示会前日。必死にデコレーションを凝らす私と同僚たち。「綺麗だね、キラキラで今まで見た事のない展示になった」とウキウキ。しばらくすると副社長が会場入りして、会場内の現地確認を行います。所属長が呼ばれて、何やらやり取りをしたのち「すまない。シャンデリアは外すようにとの副社長の指示だから」
画像3 つるしたシャンデリアが水商売の店、キャバクラやホストクラブを連想するユーザーがいるかもしれない、という判断だ」というのです。そんな世界とは無縁の私達開発部の面々は所属長の言葉に呆然としながら、シャンデリアを外しました。同じ会社でも、役職の違いで接する世界が違う。同じものを見ても受け取り方がここまで違うのだという現実を知りました。展示会開催中、副社長付の秘書から「昨日はすまないことをさせて申し訳なかったって、副社長がおっしゃってましたよ。自分が頭下げるわけにはいかないからこっそり伝えて欲しいって。」と。

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