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バニーカクタス

離婚後、23区の外れの木造アパートで
つつましく孤独に暮らしていた
隣駅の100円ショップのレジ前でその子をみつけた
バニーカクタス
兎の耳のようなかたちをしたサボテン
家に持って帰ってこたつテーブルに置くと
バニーカクタスは喋り出した
会話が続いた
ぼくは幸せだった
次の日、もっとサボテンやら多肉植物やらを買いに行った
そうするとその子、もう喋らなくなってしまった
あんなにおしゃべりだったのに
ひと言も
最初から私は喋ったりするものではないのです、という顔をしてすましていた
なぜぼくは
たった一つの大事なものを
もっと増やそうと思ってしまったのだろうか。





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